南極日誌

この映画が記憶に残るのは...



  

ソンガンホの新作ということもあり、公開される前から結構話題になっていて、ボクも楽しみにしていた作品だった。でも、いざフタを開けてみると、あんまし芳しい評価は聞こえてこず、観客動員も思ったように伸びていない。
「スターが出演しているだけでお客さんが呼べる」というスターシステムを考え直すきっかけになった一本としてだけ、記憶に残る作品になるのかもしれない。
ソンガンホが出ているし、ほとんどの部分を極寒のニュージーランドでロケをし、巨額の予算が投じられたことは想像に難くないのにな...。

お話しそのものに問題があったのではないだろうか?
これがもし、同じ舞台であったとしても、到達不能点に至るまでの感動のドラマ仕立てであったとしたら、もっといい作品に仕上がって、少なくともお客さんは入ったと思うのは、ボクだけだろうか?

「到達不能点(P.O.L=Pole of Inaccessibility)」 南緯82度08分東経54度58分に位置し、どの海岸線からも最も遠い地点にある南極の一地点。海抜3,700m、氷の厚さ3,000m、地球最低気温80度をしばしば記録する、地球上で最も自然条件の過酷な場所。ソ連探険隊が1958年にただ一度だけ征服。その後“到達困難極”“到達困難点”と呼ばれる事もある。 (「南極日誌」公式web-sietより)

う〜ん。知らなかった。
南極点以外にも、そんな地点があったなんて!
今や、地球上でただそこへ行くということが困難とされる場所が存在しているのか!

そこへ到達するために韓国隊が結成され、その隊長がソンガンホ、隊員にはユジテはじめ5名の計6名の探検隊。
飛行機でデポされ、その後は徒歩かスキーによる自力で到達不能点を目指す。腰にロープをくくり、雪の上を滑る舟(橇?)を引っ張るのだ。
こんな極限の場所で事件が起こらないわけはないのだけれど、その事件のベクトルがどうも誤っているような気がしてならない。

お話しそのものは、作品を実際にご覧いただくとして、この映画で唯一ボクが「おおっ」と思ったのは、副隊長を演じたパクヒスンという人。知的で落ち着きがあるものの、一歩誤れば狂気の道をまっしぐらという難かしい役を上手く演じていた。今まで全く知らなかった役者さんだけに、今後大いに期待したい!
それに引き換え、ユジテにはがっかりさせられた。「アタック・ザ・ガスステーション」の頃の輝きは一体どこへ行ってしまったのだろう(役も良くなかったことを差し引いても...)? もっともっと活躍してもらいたい役者さんなのになぁ。

ソンガンホはまずまずでしょうか。この人にこんなヘンテコなシリアスな役は似合わない。
隊長はあの吹雪の中、どこへ消えたのだろう?

おすすめするにはなかなか難しい作品ですが、興味をお持ちなら止めはしません、はい。

おしまい。