大いなる休暇

男たちよ、プライドを取り戻せ!



  

どうってことがないカナダの田舎にある寒村の再生の物語。
だけど。妙に心がくすぐられるのも確か。

お話しはこんな感じ...。
カナダの大西洋側にある孤島。かつては漁業で栄えたこの島も、今では資源が枯渇して何の取り得もないちっぽけな島になっている。これといって産業もなく、島民は全員政府から生活保護を受けている。
この島にプラスチック工場が進出しようという計画が持ち上がる。但し、島に250名以上の住民が居て、在住の医師がいることが最低条件。住民の数はなんとかごまかせるとしても、この島に医者はいない。なんとかこの島に住んでくれる医師を呼ぼうと島民たちの涙ぐましい努力が始まる...。

この話しの根底にあるのは「男のプライド」なんだなぁ。
町があり家庭がある。その家庭を支えているのは、一家の大黒柱である男のはずだ。それでこそ、家族も、生活も、何もかも上手くいく。ところがこの島では、男たちは大黒柱でもなんでもない。毎日ぶらぶらして、月に一度の生活保護の支給日に郵便と銀行の窓口に並ぶことだけが「仕事」なのだ。
こんな「仕事」では一家の大黒柱にはなれない。
「俺に仕事を!」「島に仕事を!」
男は奔走する。

しかし、深刻なお話しではない。お話しそのものはシビアだけど、語り口や紹介されるエピソードは軽妙で明るくさえある。島民挙げてクリケットに打ち込む姿は、一種感動的でさえある(?)。

でも、笑い飛ばせるだけのストーリーでもない。ボクの隣や、明日にでもボク自身に降りかかってくるかもしれない。そんな思いを抱くと、他人事とも思えない。
最終的には、なんだか「心温まるエピソード」的な終わり方なんだけど、もし実話ベースのお話しなら、この最中、島民の皆さんにはギリギリの立場に置かれていたんだろうな。

冒頭とラストのタバコの煙には、ちびっとだけニヤっとさせられました。

おしまい。