マラソン

走るのが、好き。



  

この4月にソウルで拝見した映画、もう日本で上映される。これって凄いことだ。
「甘い人生」も日韓同時公開だったけれど、これはイビョンホン人気だから例外として、「マラソン」のように地味な作品が半年も経ずに字幕付きで劇場公開とは驚くばかり。
まだ寒さも少し残るソウルで、地下鉄を降りダッシュで駆けつけて観た。今回はリサイタルホールで試写会。まだ始めの方だったからか、立ち見も出る盛況。

我が語学力が如何に情けないものなのかが良くわかる。あヽあかんなぁ。
おおむね筋は追えていたけれど、細かい部分はさっぱり。

それでも、そんな語学力を超越した部分にこのお話しの良さはある。言葉がわからなくても伝わってくるものがあった(もちろん、わかるのに越したことはないけど)。
チョウォンの心の中は誰にもわからない。誰にもわからないんだけど、誰にでもわかることがある。それは彼が「走るのが好き」だということ。10キロだって、炎天下のグラウンド100周だって、好きだから頑張れた。それだけは間違いない。
誰のためでもなく、自分が走りたいから走る。

それだけのことなのに、どうしてこんなに心が揺さぶられるのだろう。
それは「あの子より一日だけ長く生きたい」と願う母の姿に感動するからだろうか?
そうではなく、自分で走りたいと意思表示をして、たった一人でマラソン大会へ向かうバスに乗ったチョウォンに感動したのだと思う。結局、周囲(母やコーチ)ではなく、自分自身で判断して大会へ向かう。その気持ちが素晴らしく、結果として3時間を切るのか、完走出来るのかはあまり関係なかったような気がする。
苦しい途中、手にしたチョコパイを放り投げてもう一度走り出すシーンが印象に残る。大好きなチョコパイを捨て走り出したことは、過去の自分との決別(ちょっと大袈裟かな)を暗示しているようでしたね。

コーチは、飲酒運転で逮捕され、それに対する刑罰の一種として社会ボランティアを課せられていたのか。それにしてもこのおっさん、普段は一体何をして暮らしているのだろう? ちょっとした謎ですね。
お母さんが、お使いに出したチョウォンがいたずらをしてしまった若い女に派出所を出てから逆切れするのは、凄いなぁと、ただただびっくりしてしまいますけど...。

とにかく、素直に素敵なお話しですので、お時間が許せば是非大きいスクリーンでご覧下さい。梅田では7/2からブルク7で上映されるようです。お楽しみに!

おしまい。