潜伏捜査/Stakeout

もうひとつパンチ不足かな



  

coexにある巨大なシネコン、megaboxは便利な施設。16もスクリーンがあり、早朝の8時過ぎから25時ごろのスタートまで、それこそ不夜城のごとく映画を上映している。大きいスクリーンは700ほどの座席があり、小さいスクリーンでも200ほど。いずれもスタジアム形式の座席レイアウトで、どの席でもそこそこ観やすいですね。飲食店も多いし、ファーストフードの店もある。客層は圧倒的に若い人が多い。10代後半から大学生ほどが多いかな。
スクリーンが多いのでヒット作は複数のスクリーンで上映され、時間の融通がきくし、ハシゴしやすい環境なのがありがたい。ボクは計画を立てて、一日に何本も続けて拝見することが多いです。ただ、megaboxで全てがカバーできるわけではなく、ちょっと時期ハズレだったり、リバイバルだったり、興行的に苦しい作品はmegaboxでは観ることができません。そういう作品は、丹念に探して足を運ぶことになります。それはそれでなかなか楽しい作業になります。鐘閣のコア・アートホールや光化門のシネキューブやアートキューブはボクの好きな個性的な映画館の一つです。

さて、この日megaboxで続けて観たのは「潜伏捜査/Stakeout」。小さいスクリーンだったけど、こちらもそこそこ入っていてびっくりしました。
決してしょうむないお話しではないけれど、ボクにはちょっとパンチ不足だったかな。
その理由は何なのか考えてみると、どうやら「主人公の女性の魅力」だと思いました。この映画、もしチョンジヒョンが主演していたら全然違う仕上がりになっていたような気がします。 決して、主演のキムソナが悪いわけではない。よく頑張っていると思う。でも、刺激的なストーリーに慣れてしまったボクには響いてくるものがなかったのも、また事実。目だけはどんどん肥えていくから、作る方はなかなか難しいよね。

人身売買の現場に囮捜査で潜入していた女性刑事チョンジェイン(キムソナ)。
(なんと!)独島へ売り飛ばされる土壇場で踊り出て、犯人逮捕に成功する(これって本当に犯人逮捕に貢献したのかは、甚だ疑問だけど)。
そして、署に復帰した彼女に任命された次の仕事は...。

よくわからないのだけど、黒社会の重要人物(キムカブス)を父親に持つ女子高生スンヒ(ナムサンミ)をマークするために、今回は高校生として高校に潜伏することになった。
学校には話しは付けてあるようだけど、担任(パクサンミョン)ですらジェインが刑事であることを知らない。普通は担任の先生ぐらいは事情を知っていてもよさそうなもんだけど...。
でも、それだからこその面白さがあるのも確か。生徒の役で潜入捜査なんて、気楽で楽しそうだけど、授業で当てられるし、宿題もあれば、試験もある。勉強嫌いのボクならすぐにでもギブアップ? このお話しでも、試験では無線を使ってのカンニングがばれて大変なことになってしまうしね。相棒(?)の刑事(キムサンホ)はちっとも役に立たないしね。
そんな面白さと、謎の同級生ノヨン(コンユー)の存在も気になる。解決の糸口が掴めないまま、もう一人の刑事が先生役として学校に派遣されてきて、彼女の気は焦るのだが...。

深く意味を考えなくても、気楽に観ていると、ストーリーも自然と頭の中に入ってきます。そして、面白さもしっかり伝わってきて、楽しめる作品だと思います。
ただ、日本でも著名な人(いわゆる韓流スター?)が出ているわけではないので、日本での劇場公開はどうでしょう?
設定そのものは面白いのですが、幾ら潜入捜査とは言え、キムソナが女子校生役はちょっと無理があるのではないでしょうか? コンユーは「同い年の家庭教師」でクォサンウのライバル役をしていた男の子ですね。ちょっと顔の感じが変わったような気がしました。彼が日本語の台詞を喋るシーンがあるのですが、どうしてここで日本語なのか、それがちょっと理解できなかったのが悔しいです。まだまだ勉強不足です。

しかし、韓国ではこうしてスターが出ていなくてもどんどん作品が撮られて公開される。そして面白いから、お客さんも入る。それに引き換え日本は、なんか妙に「気張った」作品ばかり。もう少し肩の力を抜いて「大作」でなくてもいいから、気楽に楽しめる作品を撮ってもらいたいですね。

おしまい。