舞台よりすてきな生活

生活にはいろいろあるんだ



  

ホームコメディと言うよりも、ホームドラマ。
いろんな要素が詰め込まれている。子供を作る作らないと言った夫婦間の話し。痴呆が進んだ老人の看護問題。近所とのお付き合いの話しに、深夜のストーカー、それに障がいを持った近所の子供...。
まぁ、ミドルアッパーが集う住宅地に住んでいれば起こりそうな問題がてんこ盛り。
もちろん、その全てが解決するわけではないけれど、それなりに目出度くケリが付く。そんな安心して観ることが出来るお話しですね。もちろん大きなスクリーンで観るのにこしたことはありませんが、こういう掌品はブラウン管でご覧になっても、いいのではないでしょうか?

ボクはこの映画を観ながらなんだか妙な違和感を覚えていた。
それは、通りに面して芝生の前庭が広がる一戸建ての家が連なる住宅街。経済的には何不自由なく暮らす主人公たち。アメリカの映画にはよく出てくる風景。だけど、この風景ってほんとうにアメリカの典型的な生活なんだろうか? 本当はちょっと違うのではないだろうか? 出てくるのもほとんど白人ばかりで、黒人はほんの少しだけだし、ヒスパニックやアジア系は皆無。これは、ちょっと切り取られた描写なんだろうな、そう受け止めることにしよう。
そんな、本題からは少し離れたところが心に引っかかった。

簡単にお話しを紹介すると...。
戯曲作家のピーター(ケネス・ブラナー)はスランプに陥っていた。劇場のオーナーからは慰められ、役者からは「?」を突きつけられる(ここにちょこっと出てくる清掃係りのおっちゃん、よくある手法だけどにやりとしてしまいますね)。
彼はスランプなのか? 家庭でも問題を抱えている。奥さんのメラニー(ロビン・ライト・ペン)は活動的、赤ちゃんが欲しいと思っているけれど、なかなか授からない(?)。ピーターは、子供なんてまっぴらと思っているし、言葉にも出してそう言う。この家庭には、少し痴呆が進んだメラニーの母親が同居している。近所が飼っているワンちゃんが、夜な夜なうるさく鳴き叫ぶ。彼のスランプはおばあちゃんとワンちゃんのせいなのか?
そんな時、近所にピーターのファンだと言うシングルマザーが引っ越してくる。子供は足に障がいを持った女の子エイミー。働く母親のためにメラニーはエイミーを時々預かることに。これでピーターの悩みの種増えた?
ピーターは、近所に自分の名を語る変な男が夜中にうろついているのを知る。偶然この男と知り合ったピーターは、不思議なことに妙な親近感を覚えるのだが...。
果たして、ピーターの芝居は上手くいくのだろうか。

ロビン・ライト・ペンがいい。彼女がいいのか、それともメアリーというキャラクターの設定がいいのかは微妙だけどね。
エンディングもなんだか、予感を感じさせるもので、その余韻の中で幕が降りるのがいいですね。そうそう、こうして好むと好まざるにも関わらず、生活や人生は続いていくのですね。

「How to Kill Your Neighbor’s Dog」というのがこの映画の原題。それが邦題は「舞台よりすてきな生活」。
ちょっと違うんじゃないかな? とボクは思ったけどな。

おしまい。