犬猫

よくわからなかった



  

正直に言って「よくわからない」映画だったけれど、日常の些細な出来事の積み重ねが、上手くおかしく描写されていた。でも、本当はリアリティがあるべき日常生活が、なんだか妙にフワフワと描かれているのも確か。それが「よくわからない」原因なのかもしれない。
タイトルが「犬猿」だったらちょっと嫌味なような気がするけれど、そうではなく「犬猫」だから、なんだか「なるほどね」なんて妙に納得してしまったりするから、これも不思議。

幼稚園のときからずっと地元で一緒に育った女の子が二人。成人しても地元にいる。それなのに、お互い実家に住んでいるわけではないから、不思議といえば不思議なんだけど、この映画は設定に疑問を持ってはいけないのだ。
この二人はもちろん顔見知りなんだけど、決して仲良しではない。だけど、妙な共通点がある。それは同じ男に惚れること。

近くに住むアベチャンが中国へ留学することになり、彼女が一人で住んでいる一軒家の留守宅を預かることになったヨーコ。そこへ彼のアパートを飛び出して宿無しになったスズが転がり込んでくる。明日はアベチャンが中国へ出発する日だというのに。
結局、なし崩し的にヨーコとスズはこの家に住むことになる。
スズが飛び出したアパートに住む彼は古田。この古田はヨーコの元カレだった。う〜む、なんとも複雑な関係だ。

アベチャンの家には、布団が一組しかない。
生活感が乏しいのに、布団を敷くシーンだけはなんだか微入り細に入り描写されているのがなんだか可笑しい。こんな細かいシーンの積み重ねで、ヨーコとスズの性格がだんだんわかってくるのだから不思議ですね。

そんなこんなで、新しい生活が始まるの。
だけど、このヨーコとスズは一体何をしているのだろう? 学生、それとも今はやりのニートなの? お互いアルバイトはしているようだけど?
そんなところに、新しい問題がムクムクと持ち上がる。
ヨーコがアルバイト先のコンビニで憎からず思っている青年(きっと年下)に、なんとふとしたきっかけでスズが横取り(!)してしまう。こうして歴史は繰り返されるのだろうか?

ボクとは非常に不幸な出会いをしてしまった西島秀俊が古田役で出演。この人、最近スクリーンで良くみかけますね。売れっ子なのでしょうか。アベチャンは小池栄子、スズに藤田陽子、ヨーコには榎本加奈子。スズもヨーコもボクには初めて拝見する方でした。

この二人、結局正反対な性格なのではなく、やっぱり似た者同士なんでしょうね。
でも、ボクにはもうひとつよくわからなかった。

おしまい。