花嫁はギャングスター

コメディ映画は観る環境が大切なのだ


  

続けて拝見したのは、韓国で大ヒットした「花嫁はギャングスター」。香港でもずいぶん人気を呼んだそうです。でも、日本ではひっそりと公開。
この映画も観るのを楽しみにしていたけれど、この日シネカノン神戸へ足を運んだお客さんは10人足らず。レイトのみの上映とは云え、こりゃちょっと淋しすぎる。
三宮と神戸は距離的にはそんなに離れていないけれど、心理的には随分遠いような気がする。それでなくても夜が早い神戸地区で、神戸は三宮よりずっとしまうのも早いしね。「花嫁はギャングスター」の人気のなさよりも、シネカノン神戸が大丈夫なのか、そっちの方が気になった。「スキャンダル」にはお客さん入っていたのかな?

ボクが初めてシンウンギュンに会ったのは「Blue(邦題:SSU)」。この映画の中で、男勝りのかっこいい海軍の女性士官を演じていた。そのかっこよさに、ちびっとうっとりしてしまった。
で、実はこのシンウンギュンが「奥様は極道」の奥様だと知り、びっくりもしたけれど、期待も高まった。彼女なら、極道役も絶対に似合う!

映画そのものは、はっきり言ってたいしたことない。
まるでお通夜のように静まり返った神戸のスクリーンで、カラカラとボクの笑い声だけが響くのは、どう考えてもツライ。
これが旺角にある満員の劇場で、ノリが良くて、反応がストレートな香港人と一緒に観ていたらかなり違う印象を持ったと思う。だけど、観ているこちらもどうも乗り切れない状況では、何か真に受けて、粗さばかりが気になってしまう。

男勝りの女組長ウンジン(シンウンギュン)が、幼い頃生き別れになっていた姉と再会を果たすのだが、お姉さんは不治の病に臥せっていた。彼女の唯一の願いは、ウンジンの花嫁姿を見ること。
今まで結婚なんて考えていなかったウンジンだけど、急遽手下に命じて結婚を相手を探し始める。失敗を重ねた末に、白羽の矢が立ったのが、お人好しだけど、冴えない中年の公務員スイル(パクサンミョン)。お見合いをして、三分で結婚を決める。
こうして、この二人の奇妙な結婚生活が始る...。

設定そのもので笑わせる。
ただ、途中に入るギャグやツボは結構粗くて、流れの中で観ていると面白そうなんだけど、心が冷え切って、隙間風が吹く劇場では、ちょっと寒いものもあった。
パクサンミョンのいい人振りには驚かされるばかり。この映画で一番上手いのは、間違いなく彼。それと、二番目の子分のラストもなんか切なかったなぁ。 安易かつ強引な筋運びで、グイグイ引っ張って行ってくれるのはいいけれど、ちょっと待てよとも思ってしまう。

背中が大きく開いたウエディングドレスを着るために、背中一面の刺青をサロンパスで隠すのは、どう説明するのよ。
「ボクの給料では、出張料理人なんか呼べないよ」 いやいや、それよりも前にあんなマンションに住めないでしょ。
まぁ、こんなことに目くじらを立ててこの映画を観てはいけない。ここは素直に、そのとき面白いと思ったことに笑わないとあかんねんなぁ。
最後の最後に出てくるのが、チェミンスなのには驚いた。なかなかやるねぇ。

予想外の大ヒットで、韓国では続編も作られており(公開済み)、三作目も作るようです(チャンツィイーが出演するそうですょ)。それにハリウッドのリメイクも決まっているとか。
シンウンギュンは、確か今、産休中だったような気がします(よかったね、赤ん坊が出来て!)。

韓国映画ブームの流れに乗って、ほんとに次々と公開されるけど、中にはヒットしない作品も出てくるやろうな。「四人の食卓」なんか、チョンジヒョンが主演だけど、ちょっと危なそう(もちろん、観に行くけど)。「シルミド」や「ブラザーフッド」は大丈夫かな。「箪笥」ってなんともセンスがない邦題が付けられてしまったけど、この作品にも期待しています。「永遠の片思い」(これも何ちゅうタイトルや!)も楽しみです。

おしまい。