ジャンプ

1年に10万人


  

この日は平日なのに神戸まで遠征して二本立て。
大阪は水曜がレディスデイだけど、ここシネカノン神戸の水曜日は誰でも1,000円ので観ることが出来る「水割り(すいわり)」
新快速で神戸に向かうと、思ったほど時間がかからない。門戸から高速神戸へ行くよりもずっと速いよ!
が、まぁ、そんなに人気のない作品だから仕方ないけれど、もらった整理券は何と「4番」 これって大丈夫なのか? 割引デイでこの人数は...。

何年か前に「本の雑誌」で評判が高かった。それに最近この映画の存在を知って、ようやく文庫化された原作も読んだ(良かった!)。
もう一つの注目は、ここ数年ソウルで活躍しているユミンこと笛木優子が出ていること。

原作を読んでから映画を観ることは少なくないけれど、この映画はちょっとなぁ。
まず、主人公の三谷がどうもイメージと合わない。あんなにぼそぼそ喋るのはどうもな、それにもう少し二枚目じゃないと鈴乃木が惚れる必然性が感じられない。
それと思ったのは「そんなに簡単に諦めていいの?」
三谷が必死になってはるみを探しているようには見えなかった。ここはとても大切なポイントで、普通は原作のように恋人が失踪したらもっと必死になって探すはずだし、手がかりに食らいついて行くはずだ。そんな思いや切迫感が原田泰造からは全く伝わってこなかった。
何をするにつけ原田の三谷は、どうも投げやりに見えて仕方ないなぁ。
すると、どうも映画そのものがウソっぽくなってしまう。

他のキャスティングはそう悪くない。それどころか久しぶりに唯野未歩子の姿も見ることができた(嬉しかった!)。

ユミンはボクの想像よりも出番が多かったけ。でも、この人、セリフがあかんなぁ。あんな感情の入っていない棒読みではどうかな。台本が悪いのかもしれないけど。

はるみが一度部屋に戻ってきたことがわかったときに、もっと安堵感(まだ、生きているって)があるはずだし、いつか、はるみが自分を必要としていない(あるいは離れたがっている)ことがわかったときには、淋しさが出るはずなのに、そんな感情はどこにあったの?
コンビニで倒れた大学生のエピソードも唯野未歩子のエピソードも、全然生きていない。なんか原作にあったから仕方なしに付け加えたようなおざなりささえ覚えてしまった。

最後に、はるみとの再会。
原作は福岡から有田へ向かう特急列車の車内だった。その限りのある時間への切迫感が、ボクの心に響いたんだけど、映画では伊万里の窯元と街中での邂逅になっている。
ここもなんだかな。

ちょっと、自分の中で勝手に期待を膨らませていただけに、その落差の大きさにがっくりというか、げんなりしてしまいました。
展開されるストーリーは同じだけど、そこで表現されたものは全く別物だったように思えました。この映画は原作とは違うモノだと割り切って観る必要があるようです。あるいは、原作だけ読んで、映画は観ない方がいいかもね。

こうなると、整理番号4番も妙に納得出来たりして...。

次回は、整理番号、栄光の「1番」だった、「花嫁はギャングスター/奥様は極道」をご紹介します。

おしまい。