「シングルス/Singles」

日本のTVドラマのリメイク


  

どんどん紹介される韓国映画。
劇場公開が決まっているわけでもないのに、日本語字幕付きで観るチャンスはそうそうない。
そんなチャンスに恵まれた。「元気な韓国映画はこうつくる!」というタイトルで企画された「日韓映画人シンポジウム」の大阪会場へ出かけました。
事前に申し込みが必要だったけど、それは済ませてある。参加料は1,000円ということでしたが、それは免除してくださり、おまけにTシャツまでいただきました。ありがとうございました! 
会場は「風林高」に続いてタカラベルモントホール。場内は7割ほど埋まっていました。100人ほどかな。平日だったので、シンポジウムの途中からと、この「シングルス」の上映のみに参加させていただきました。
何かと大変だとは思いますが、また来年もこのイベントを実施してくださるようお願いいたします。

今年(2003年)の7月に公開されたばかりの新作。ほとんど予備知識無しで拝見しましたが、なかなか面白かった。
底本があり、なんと日本のテレビドラマ「29歳のクリスマス」だそうです。ボクはほとんどTVを見ることは無いので、元のドラマそのものを知らないんだけどね。でも、そう聞いてみるといかにも女性を意識したお話しのようにも思える。
出てくるのは30才にもうすぐ手が届きそうな女性二人。この二人が主人公。
そして、各々の彼氏(?)が出てくる。もちろん、それだけでは面白くないので、この四人には様々なエピソードが散りばめられている。

ばりばりのキャリアウーマンのトンミ(オムジョンファ)。
自分ではもうすぐ結婚かと思っていた彼氏からいきなり別れ話を切り出される。職場では、上司の課長のやり方が気に入らないと思っていたら、いきなりアパレル部門から外食部門へ異動(左遷)させられてしまう。自分を取り巻く歯車の全てが狂っている。あぁ、もうどうしたらいいんだろう?
一方、トンミの親友ナナン(チャンジニョン)。
今日も男を部屋に連れこんでいたら、同居人のチョンジュン(イボムス)がいきなり戻ってきた。ナナンとチョンジュンは女と男なのに、二人の間にあるのは「友情」だけという不思議な関係。

トンミがどのようにして新しい環境に挑んでいくのか、次の恋人は現れるのか?
ナナンとチョンジュンの関係に進展はあるのか?

本当は12話ほどの1時間テレビドラマなんだろうな。ほんといろんな展開が用意され、その各々が面白いし、良く練られている。ただ、この作品は二時間あるかないかの映画。時間的な制約があり、エピソードそのものをあれもこれもと飛び回っているような気がするのも否めない。
それでも、この作品を楽しめるのはトンミを演じるオムジョンファのかわいさ。ナナンの気の強さ。そしてチョンジュンを演じるイボムスの演技の幅の広さだろう(この人、最近良く見かけるけど、なかなかの芸達者!)。そう考えるとトンミの相手役は影が薄くてかわいそう。
原作の結末がどうだったのかは知らない。でも、この映画の結末にはちょっと驚いた。四方八方まるく収まるような伏線を用意しておきながら...。

何箇所か誤植(変換ミス?)はあったけれど、しっかりした字幕が付いている。別に字幕用のスクリーンが用意されているのではなく、フィルムに焼き付けてある。
これって、準備するの大変やったやろなぁ。それとも、劇場公開への伏線?
日本のテレビドラマのリメイクという「話題性」はあるものの、出演陣がちょっと地味目だけに、劇場公開どうでしょう。
ボクは、今までオムジョンファのことは全く知らなかったんだけど、こんな人がまだまだ隠れているなんて韓国の芸能界も奥が深いなぁ、とびっくりしたんだけどね。

さぁ、これからもどんどん韓国の作品が公開されたり、紹介されたりされます。
ほんとに楽しみです!
主催者の方、スタッフのみなさん、ありがとうございました。お疲れさまでした。

次回は昨年のアカデミー賞外国語映画賞を授賞した「名もなきアフリカの地で」をご紹介します。

おしまい。