「キリクと魔女」

これは神話だ


  

お盆休みのこの日の4本目。
会場は大丸の横の方へ移動してシネ・リーブル神戸。アサヒシネマは三宮と言うにはどうかなって感じの場所。リーブルも三宮でもなし、元町でもなし、ちょっと中途半端な場所だけど、両方とも阪急の三宮から5分程度の距離にある。
フランスのアニメ「キリクと魔女」。とにかく、音楽が耳に残る。
最終回だけ字幕上映。そう言えば第二外国語は仏語だったような気がする。理解できたのは「モナミ」だけなのが、我ながら情けない、みっちり勉強したのになぁ。
アニメの手法としては、少々あらっぽく、動きもどこかぎこちない。でも、そんなことは気にならないほど物語りがグイグイ引っ張ってくれる。

キリクはまだお腹にいるときに、母親に語りかける。「早く産んでよ」と。
キリクが産まれた部落は魔女カラバに苦しめられている。泉は枯れ、遠い川まで水を汲みに行かなければならない。若い男たちは魔女に挑み、捉えられ喰われてしまった。部落にいる男は年寄りとまだ幼い子供だけ。
キリクは唯一残っているまだ若い伯父と魔女の館に出掛け、カラバと対峙する。この対決はキリクの機転でカラバに一泡吹かせる。
部落に帰ったキリクは不思議で仕方ない「どうしてカラバは意地悪なの?」。
「それは、カラバが魔女だからさ」
「じゃぁ、どうして魔女は人々を苦しめるの?」
そして、キリクはその理由を知るために旅に出る。

キリクの素直で純真な心が、部落でタブー視されていた魔女の謎に迫る。
いかにもアフリカのどこかで語り続けられていたような物語り。何を暗示しているのか。何を示唆しているのか。

しかし、ストーリーそのものは明快で痛快。
キリクは魔女の謎を知る。キリクは謎を知るとカラバをその呪縛から解放する。キリクはカラバが悪いのではなく、彼女を魔女にならしめていた呪縛こそを憎いものだと判断する。
この発想は凄い。こんな心がボクにも欲しい。

お子さんが観ても充分理解でき楽しめますが、本来は大人向けのメッセージ色が強い作品なのかもしれませんね。
もうしばらく梅田では梅田ガーデンシネマ、三宮ではシネ・リーブル梅田で上映しています。最終回以外は日本語吹き替えですので、お子さま連れの場合はこちらをどうぞ。ご一緒にキリクの活躍をお楽しみください。まずまずのオススメです。

おしまい。