「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」

予定調和内のお伽噺


  

この日三本目に拝見したのは「パイレーツ・オブ・カリビアン」の試写会。
松竹系の劇場では随分前から予告編が流れていましたねぇ。日本語で言うと「カリブ海の海賊」って感じですね(そのままやね)。
会場は中之島のフェスティバルホール。ここか厚生年金の大ホールを使う試写会は、いわゆる「大作」と相場が決まっている。座席券の引き替えに予想以上に時間がかかり、しかも貰ったのは二階の券だったのは驚いた。凄いね。

ご存知ジョニー・ディップ、「指輪物語」で弓の名手のエルフを演じている二枚目のオーランド・ブルーム。そしてヒロインには「穴」「ベッカムに恋して」のキーラ・ナイトレイ。
う〜む。なかなか豪華なキャストだ。それに作品の背景も凄い。

でもね、物語りそのものはあんまり大したことはない。血沸き肉踊る一大スペクタクルっちゅう感じでもない。全てが想像の範囲内で収まってしまう、いわば予定調和内のお伽噺のような海賊物語り。なんかロマンが掻きたてられるわけでもないんだなぁ。そうそう、制作はディズニーだもんな。お伽噺と言うよりも、これは大人向けの童話なんだ。
しかし「おもんない」わけでは決してない。それなりに面白く、ヒットする要素もふんだんに盛り込まれている(それがどんなんかは、是非劇場でご確認くださいね)。

存在感があるのはやっぱりジョニー・ディップ演ずるキャプテン・スパロウ。
この人が主役で、その他の俳優やロマンスもその他のエピソードも彼の引き立て役でしかないのだ。役どころは二枚目ではなく三枚目。しかもこの男、なんとも欲がない。こんなに欲がない海賊なんているのか?
オーランド・ブルームもキーラ・ナイトレイもキャプテン・スパロウを前にすると完全に霞んでしまう。二人とも容貌だけでなく演技もできる役者さんなのにね。

完全な娯楽大作。どなたでも安心してお楽しみいただける映画です。ようやく夏らしく暑くなってきたので、涼しい映画館で避暑も兼ねてお楽しみください。
しかし、アクがないっちゅうか、カラシが効いていないと言うか。ぴりっとしたところがないねんなぁ。出てくる人は「いい人」ばっかりで「悪い奴」がおれへんねんなぁ。

本編が終わり、長い長〜いエンドロールが5分ほどあってからほんのちびっとだけオマケ画像があるので、お楽しみにね(そんなに意味があるわけでもないけど)。それにしても、この最後の画像、どっかで観たような気がするねんけど思い出せない...。

次回は天六で観た、ガイ・ピアーズ主演のオーストラリアの映画「トゥエンティマン・ブラザーズ」をご紹介する予定です。

おしまい。