「茄子 アンダルシアの夏」

涙はないけど、熱くなった!


  

夏になるとやって来るのはジブリのアニメだ。
去年の「猫の恩返し」は食指が動かなくて観なかった。この夏は「茄子 アンダルシアの夏」という掌編。ほとんど興味は無かったけど、あるきっかけで観る気になった。
で、初日に梅田は阪神ウラのブルク7へ出掛ける。拍子抜けするほど空いていた。「あれ?」

わずか47分の作品。
上手く省略してあり、大人のアニメ。
この47分というのが実に「ビミョウ」。喰い足らないようで、満腹なような...。

物語の背景、実に上手く省略されている(ある意味、観ている側には消化不良だけどね)。いささか強引にストーリーは進行していく(それにしても、主人公の兄の嫁さん。イカにもタコにも、ジブリの女性だなぁ)。
「あれ」って思いながらも、物語りの中にどんどん引き込まれていく。そして、どうして「茄子」なのかもわかってくる。

物語りは、実は12時間ほどのことが語られているだけなのに、その時間は実に濃縮された時間なのだ。
レースのスタートすら描かれていない(省略されている)。主人公のぺぺの故郷がこの日のゴール。そのゴールに向かって、ぺぺは駆ける。映画も駆ける。そして物語りも一気に収束していく。
もちろん、観ているボクたちも、スペインのアンダルシアにあるこの街へ、一気に駆けて行く。

もっと人間模様を観たかったような気もするし、このままで良かったような気もする。
結局、ぺぺはこの日のレースにどうしても勝ちたかったわけでもなく、勝たねばならない理由があったわけでもない。ツアーの中にある、いつもと変わらないいつものレースのはずだった。
それが、どこで歯車が狂った(噛み合った?)のか、故郷を走るこのレースで首位を争う。個人競技のようでいて団体戦。気分や気持ち一つのように見えるけど、実は緻密にタイムを計算された科学戦。

もぅ少し、夢を見ていたかったな。そんな気になる。
涙は流さなかったけれど、熱くなった。
まずまずのオススメ。価格もオススメ。当日劇場価格は一律1,000円になっています。

おしまい。