「HERO」

若干の緩和!?


  

梅雨が明けないままに秋になってしまうのかと思っていたら、梅雨明けを待っていたかのように束の間の夏空。でもまた明日からは雨模様の予報。天候不順を嘆いていたら宮城県では大地震。今年の夏は一体どうなっているのやら。
もう、随分前に観た試写会を今更ご紹介するのも気が引けるけど、一般公開はお盆過ぎらしいので筆の遅れをお詫びしつつキーボードを叩くことにします。

2003年の旧正月に大陸と香港・台湾で公開されたチャンイーモウ監督の新作ですね。まだ寒空のソウルで一度拝見しています。その時は、普通話にハングル字幕で、正直、チンプンカンプン。それでも何とか1/3ほどは理解できていたかな?って感じだったけど、今回日本語字幕付きで拝見して、その程度だったことが再確認できました。

この映画の偉いところは、上映時間が2時間を切っているところ。

最近の映画はしょうむない作品でも2時間を簡単にオーバーして、3時間をも超過してしまう作品も珍しくないほど。その中で、この監督、このキャスト、このスケールで1時間40分台にまとまっているのは「偉い!」
何しろ、超一級のスターが四人も出ている。トニーレオン、マギーチャン、リーリンチェイ、チャンツィイー。これは凄い。トニーレオンもマギーチャンも普通話のセリフをしっかりこなしている。これも「偉い」。

ソウルで観たときは、はっきり言って「失望の塊」状態だった。今回、日本語字幕で全貌が明らかになったにもかかわらず、その思いは「若干の緩和」にとどまった。
それは、やっぱり(少なくとも)ボクは「チャンイーモウにアクション大作を望んでいない」ということ。
彼に「グリーン・ディステニー」に対抗したワイヤーアクションを見せてもらいたくない。もっと濃厚な、これでもかって言うどろどろした人間ドラマを期待している。その片鱗は無きにしもあらずだけど、残念ながらボクが期待するベクトルとは大きくかけ離れた作品。

確かに、話しによって衣装の色を使い分ける感覚は素晴らしい。でも残念ながら、それだけだ。
これだけ豪華なキャストが生きているとも思わない。特に、マギーチャンとチャンツィイーの絡みが惜しいと言うか、贅沢と言うか...。この二人にトニーレオンのエピソードだけで別の映画が二本は撮ることが出来るよ。

それにしても壮大なスケールの作品であることは確か。これ一本を観て「チャンイーモウを観た」とは思って欲しくないけど、観逃すと後悔すること必至でしょう。お盆休みには是非劇場へお出掛けください!
実は、この試写会の前日にこの「HERO」のプロモーションでチャンツィイーが来日していて「ひょっとしてここ千里中央にも来てくれないかなぁ」なんて思っていたけど、残念ながら(当然?)誰も来てませんでした。
で、続いてボクの永遠のアイドル、香港のジジレオンも秋に公開予定の大陸映画「再見」のプロモーションで久々に来日していました。日本ではさっぱり人気が出ない彼女ですが、この作品で少しは火がついて欲しいなぁ。でも、香港でも峠は越えてしまったような...。そう言うボクも最近は香港の芸能ネタをチェックしてないからよくわからないけど。でも、この作品は「脱・アイドル」作品のようです。

次回は、久々に広島・鷹野橋サロンシネマで観てきたブラジル映画「シティ・オブ・ゴッド」をご案内します。

おしまい。