「恋愛中毒」

この先、どうなんるんだろう?


  

「恋愛中毒」と言えば山本文緒の小説を想い出す。なかなかインパクトのあるストーリーだった。でも、この映画はこの小説とは関係がない韓国映画。5月に関西韓国文化院の上映会で、「中毒」というタイトルで観た作品。その際には日本語字幕なしだったけれど、今回は字幕が付いている。

「レッツ・ラブ・ホンコン」の時は半分も座席が埋まっていなかったけど、「恋愛中毒」ではほぼ満席。ひょっとしたら立見でご覧になった方もいらっしゃったかもしれない。
主演はイビョンホンとイミヨン。イミヨンはこの作品で大鐘賞という韓国の有名な映画賞の主演女優賞を受賞しています(芸能ニュースでちっらと見たけど、授賞式では泣いてたね)。

字幕があっても無くても、この映画の印象派はいい意味でさほど変わらなかった。
よく練られた脚本、手堅い演出、そして上手い演技。三拍子揃ったなかなかいい作品だ。初めて観るときには、この奇抜なストーリー展開に心を奪われてしまうけれど、二度目なら筋はわかっているだけに細部にまで目が行く。
前回にはイミヨンを散々けなしてしまったけれど、今回は少し訂正します。彼女が良かったのは展示会を抜けて家に帰ってから、小包を受け取り、そこから気が狂ったように探しまわるシーン。そして悟りを開いたように会場へ戻ってからの表情に尽きる。相変わらず能面のような固い表情だけど、その中でも微妙な機微を演じ分けていたように見えました。まぁ、この辺は字幕のお陰も大きいかもしれません。
それに、前回はテジン(イビョンホン)に焦点を当てて観てしまったけれど、今回、この作品の本当の主人公はウンス(イミヨン)だと気が付いた。彼女に感情移入してこの作品を観た方がずっといいことがわかった。

そして、イビョンホンは目覚めたときに「どこまで知っていたのか」、その一点が気になりますね。彼は最初から意識はあったのか? それともベッドの横で医者が交す言葉が、夢うつつでアタマの中に入っていたのか? どうなんでしょ? もし、自分のように兄が覚醒したら...、なんて考えなかったのでしょうか?

監督は、この作品を何のためらいもなくメロドラマだと言い切っていた。
日本映画のメロドラマを数観たわけではないのでよくわからないけれど、「手紙」以来、韓国のメロドラマを何本か拝見して思うのは、韓国のメロドラマは日本のそれよりも遥かに上を行く完成度の高さを持っている。巧妙なストーリーに引きづり込まれて、ずっぽり。やられました!

とにかく、脚本の勝利だと思います。
ただ、結末が結末だけに、心にザラっとしたものを残しつつ「この先どうなんるんだろう?」と思わずにはおれません。続編を期待したいような、それはそれでがっかりしてしまいそうな...。なんか複雑な余韻を残す作品でした。
ひょっとしたら、日本でも一般公開されるかもしれません。そのときは、時間を作って是非ご覧下さい。まずまずのオススメと言えます。
この日はこれでおしまい。次回は翌日観たチャンナラの「オー!ハッピィデー」をご紹介します。

おしまい。