「レッツ・ラブ・ホンコン」

こんな映画に出会う時もある


  

「バッド・ガイ/悪い男」を観るために初めて遠征した昨年の福岡アジア映画祭。あの日も梅雨末期の凄い雨だった。今年も福岡の街は雨に濡れている。細かい雨が漂っているかと思ったら、次の瞬間には大粒の雨が激しく降る。

シネ・リーブル博多駅はビルの7階。エレベーターで一つ上がれば、「ふきや」というお好み焼き屋がある。お昼は随分回っていたが、店からあふれて並んで待っている。一人なので少し待つだけでカウンターに座れたけど、それからが長かった。後から注文した人にもどんどん抜かされてしまい、なんか感じ悪いなぁ。注文したのは普通のお好み焼きなのに! ボクの注文を忘れていたとしか思えない。確かに味は美味しいんだけどね。残念。きっと、もう行くことはないでしょう。

まず観たのは香港映画「レッツ・ラブ・ホンコン」。
これが、なんかもういただけない映画。年に何本かはこんな映画に出くわすこともあるな。どこをどう評価していいのかもわからない。全く意味不明の作品だった。
何が伝えたくてこの映画が製作されたのか、その意図がわからない。ただただ延々とフィルムが流れて行くだけだ。

この映画を「素晴らしい」とか「面白い」とか「興味深い」と感じる人が果たしてどれぐらいいるのだろう?
観ていてそんなことを考えていた。
ボクは時折写し出される香港の街角の風景だけを楽しみにしていた。

いわゆるスターは出ていない。ポルノサイトのモデルをしている女と、閉鎖された映画館で暮らす女、そしてそのポルノサイトを夜な夜な覗いている広告代理店の女社長(何故か英語しか喋らない)。この三人の退屈極まりない日々を淡々とスケッチしているだけ。
別に、スターを使えとは言わない。でも、この三人を主人公に据え、一体何がテーマなのか。何を言いたいのか。そもそも、伝えたいことなんて、最初から無かったんじゃないの?
恐らく、サイトの中の無記名(象徴としての)のモデルを演じ続けていることと、実態のある生身の人間としての自分とのギャップに苦しむ女性を描きたかったんやろうなぁ...。

きっと日本でもう一度上映されることはないと思う。だから皆さんには観るチャンスはないでしょう。

さて、この福岡アジア映画祭。招待される作品の割には全てが手作り感覚、そしてアットホームな雰囲気。悪く言えば少々なぁなぁな部分もあるんだけど、気持ちのいい映画祭。ボクは参加すると言っても、いつもと同じように映画を観るだけなんだけど、それでも「また来年も来ようかな」と思ってしまう。
それはこの雰囲気以上に、作品の質、特に韓国映画のラインナップが素晴らしいからでしょう。今年は「恋愛中毒/中毒」、「オー!ハッピー・デー」、「YMCA野球団」というここ半年の間に韓国で公開された話題作が上映される。昨年も「バッド・ガイ/悪い男」、「公共の敵」、と涙が出そうな顔ぶれ。もちろん昨年は韓国以外の香港、シンガポール、大陸の作品も良かった。 そんな新作を日本語字幕付きで上映してくれるなんて、ほんと嬉しい限りですね。
スタッフの皆さん、ボランティアの皆さんご苦労様でした。来年もよろしくお願いしますね。

おしまい。