「ミレニアム・マンボ」

それにしても、ようわからへん


  

随分前から予告編が流れていて、ずっと楽しみに待っていたスーチー主演の台湾映画「ミレニアム・マンボ」を動物園前シネフェスタ4で観てきました。
彼女はもともと台湾出身だったはず。だけどセリフが普通話の映画を観るのは初めてのような気がします。

「ようわからへん」

異様に嫉妬深く詮索好きな男・ハオとその恋人ヴィッキー(スーチー)。その二人が送った過去の日常をヴィッキーが冷めた目で回顧する、そんな感じ。そこで描かれている過去の日々はどうも生活感が著しく欠如していて、結局二人は同棲しているあいだ何をしていたんだろう。残念ながら、さっぱりわからなかった。
しかし、このハオという男はなかなか興味深い。仕事はしていない(いや、しない)。だけど、ヴィッキーと暮らすために台北市内にアパートを借りている。高級ではないが広い部屋だ。毎日遊んでいるだけだから、たちまち生活には行き詰まり、家賃も払えない(当然だ!)。でも、働かない。
外出先からヴィッキーが戻ると、身体中を嗅ぎまわる。持ち物を全部調べる。他の男の気配がないか、浮気していないか調べる。テレホンカードの度数が多く減っていると、どこに掛けたのか執拗に尋ねる。不審な支出がないかレシートを全て漁る(台湾ではレシートの裏面がクジになっているので、レシートは基本的に捨てないことを思い出した!)。ここまでしたら、変質者だね。一緒に飲みに言っても、ヴィッキーに話し掛けてた他の男にケンかを吹っかける。 そんな彼に愛想を尽かせて出て行くと「帰ってきてくれ」と懇願するそうだ。 ヴィキーは決めている。今ある貯金が尽きたらハオとは別れようと...。

これが、観ていてもなんか楽しくない。これと言って大きな事件が起こるわけでもなく、二人のだらだらした関係、いやハオの異常な執着心がスケッチされているだけ。
途中、ト書きのようなスーチーの語りと、映画のなかのドラマ部分とが微妙に時間差があり、時間軸の移り変わりが恐ろしく把握しにくい。
そして、彼女は唐突に北海道・夕張に飛ぶ。このシーンに何か意味はあったのだろうか?

スーチーのプロモーション用の映画ではない。監督には伝えたいものが別にあったハズだと思う。でもそれは上手く伝わってはこなかった。後半のガオとスーチーの関係もわからなかった。あの新大久保駅前のホテルにも意味があったのかどうか...。
「非情城市」「風櫃の少年」「冬冬の冬休み」のホウシャオシェン監督だけど、それにしても「ようわからへん」作品だったなぁ。

おしまい。