「クルテク - もぐらくんと森の仲間たち」

これがまた“いい話し”


  

神戸アートヴィレッジセンターに来たのは久しぶり。それも中途半端な久しぶりではない(と思って調べてみたらこの施設がオープンしたのが96年だから、実はそんなに久しぶりではなかった)。確か映画を観たはずなんだけど、どんな映画だったのか思い出せない。たぶん、邦画で「さくら」という篠田三郎、田中好子主演の作品だったような...(自信ありません)。
新開地から歩いて3分ほど。なかなか素敵な施設だけど、どうも立地がなぁ...。

まぁ、そんなことはともかく、東京、大阪で見逃したチェコのアニメ「クルテク-もぐらくんと森の仲間たち」を観る。
アニメと言っても、これがバカに出来ないいい作品だった。全部で七話が上映されたが、どれもが「いい話し」。ボクが特に気に入ったのが二つ目に上映された「もぐらくんとズボン」(1957年制作)のストーリー。
地上に顔を出したクルテク(クルテクは「モグラくん」なのね)は、頭上に干されているポケットがついたズボンを見上げて、たくさんものが入る「ズボンが欲しいな」と考える。でもどうしたら、ズボンを手に入れられるのかわからない。そして、野原や池で出会うさまざまな生き物に尋ねる「ポケット付きのズボンが欲しい!」と。
多くの生き物たちはいい返事をしてくれなかったが、ザリガニさんが「布を持ってきたら切ってあげる」と言ってくれる。そして、葦の原に巣を作っているトリさんは「布があれば、縫ってあげる」と。でもクルテクはどうやったら布が手に入るのかわからない。
すると、野原で麻がクルテクにささやき掛けてくれる「あなたの考えはわかりました。私の言うとおりにすれば、きっとあなたが欲しいものが手に入るわ」と。
クルテクは水をやり、害虫を追い払い麻を育てます。そして、麻が十分に成長するとカエルさんやクモさんに手伝って貰い、麻を抜き、水に浸し、乾かし、繊維をさらして糸を紡ぎます。そして今度はアリさんなどの手を借りて布を織ります。そして、とうとう立派な麻布が完成したのです。
う〜ん。なかなか感動的!
そしてザリガニさんにカットして貰い、トリさんに縫ってもらい、クルテクは念願のポケット付きのズボンを手に入れたのでした。このズボンをはいたクルテクの得意そうな顔と言ったら...。
恥ずかしながら、ボクはクルテクが布を拾うのか貰うのか、それとも盗んでくるのかだと思っていた。それだけに、この展開は正直驚いた! まさか布を織ってしまうなんて! これを見た子供にも驚きだっただろうけど、大人のボクもびっくりだ!
クルテクに機を織らせて、布が出来る仕組みを教える(知らせる)、なんて凄いアイデアだろう!

その他、第一話は「もぐらくんとみどりのほし」。第三話は「もぐらくんのにわしごと」、以下「もぐらくんとパラソル」「もぐらくんとゆきだるま」「もぐらくんとふしぎないずみ」「もぐらくんはえいがスター」と続きます。最後の「もぐらくんはえいがスター」だけはちょっとスタイルが異なりますが、いずれもなかなかの作品。 是非、もっと違った作品も観てみたいと思いました。

お時間が許せば一度覗いてみてください。おそらくビデオ・DVD化されると思います。オススメの作品です。
神戸では6/27まで上映しているようです(火曜はお休み)。

おしまい。