「夢翔る人/色情男女」

スーチーの足の裏はきれいか?


  

今年の4月にレスリーが亡くなって、早くも二カ月が過ぎた。その間、続々と追悼特集上映が企画されている。
ボクも何回か足を運ばせてもらい、まだ観ていなかった彼の主演作を観た。レスリー云々と言うよりも、今の香港映画とはテイストが違う、どこか懐かしさを覚えるかつての香港映画を楽しませていただいている。テイストだけではなく、若かりしスターの横顔や今の香港ではもう見ることができない風景の数々も楽しんでいる。変わらないのは香港の人の多さと活気だろうか。一日でも早くSARS騒動が収まって以前の活気を取り戻してほしいものです。
そういえば、最近ボク宛てに届く英語のe-mailは意味のないいたずらメールか香港や中国のホテルからのプロモーションメール。幾ら出血大サービスの価格設定でも、ボクが命知らずでも、今は行けない。すごい値引きなのになぁ(ちょっと惜しい)。キャセイからもスペシャルオファー(大阪発はないけど)が届く、魅力的なエア&ホテル。でも、我慢。

で、今回お邪魔したのは宝塚の売布(「めふ」と読みます)にあるシネピピア。何年か前に「のど自慢」を観て以来だなぁ。なかなか観やすい劇場なんだけど、いかんせん座席数が少ないのが珠に傷。この日は20時からの回を観ようと20分前には着いたものの「もう、座椅子しかありませんが、いいですか?」と聞かれた。映画館で座椅子とは? スクリーンと一番前の椅子とのスペース部分に座椅子と座布団がセットされている。靴を脱いで観るのか...。これまた新鮮な...。結局、後ろのスペースの補助席(パイプ椅子)で観ることになった。
レスリー人気恐るべし!

出し物は「夢翔る人/色情男女」。レスリー以外ではカレンモク(若い!)、スーチー(あんまり変わってない)。
観て思ったのは「スーチーもよくぞここまで来たもんだ」ということ。彼女がもともと“肉体派”だったことは知っていたけどね。
今や、香港や中華圏のみならず、世界中の作品に出まくっている、押しも押されぬアジアンビューティ#1だけど、彼女にもこんな時代があったんだねぇ。最初は台湾から来たばかりで、下手な広東語も演技ではないと思っていたんだけど、後半に行くに従ってどんどん良くなる(もちろん広東語のセリフだけじゃなくてね)! レスリーというよりも彼女を見るだけでもこの「夢翔る人/色情男女」は一見の価値ありだと思います。
この作品に出ているモニク(スーチー)が、後日「玻璃の城」でヴィヴィアンを演じるなんて、ちょっと信じられないような気もします(いやぁ、頭が下がります)。

ローカーインがプロデューサー役で好演(単なる怪しいはげおやじだけど)、プロデューサーってこんな仕事だったのね。ラウチンワンやアンソニーウォンも顔を出していて(この二人は対照的な役どころがあてがわれているけどね)脇を締めています。カメラマンの役を演じていたのは誰なんでしょう? また、スーチーのパパ役の荒井注を彷彿させるおやじもいいねぇ。一番いいのは男優役のでっかいお兄ちゃんだけどね。
この映画、主演は一応レスリーだけど、実はスーチーのための作品だったのかもしれないなぁ。そのお陰で一番割を喰ってしまったのがカレンモク。彼女の立場がどんどん小さくなってしまうのはかわいそう。きっと映画を撮る最中でどんどん脚本が変わっていったんだろうなぁ...。

この映画の出来が、飛び切りイイとは決して言いません(ストーリーもどこか破綻してるしね)。でも、観ていて楽しくなる(いろんな意味でね)、そんな作品です。チャンスがあればご覧になってもそう損はしないのではないでしょうか?

まだまだ続くレスリーの追悼上映。千里のセルシーで上映される「楽園の瑕」「花の影」は一度観ていますが、もう一度観てみたいと思っています。「花の影」でレスリーが着ている衣装がいいんだなぁ!

おしまい。