「スパイ・ゾルゲ」

時間だけ長く散漫


  

今回は試写会。今回も三国小町さんにご招待いただきました。毎度毎度ありがとうございます(しかもイイ席を)。
会場はシアター・ドラマシティ。ここは座席もいいので大好きです。しかし、考えてみたら、もう長いこと芝居見てへんなぁ。ちょっと淋しい。

ほとんど予備知識ナシに会場へ。前説を聞いて驚いた。なんとこの日本映画、上映時間が3時間3分もあるそうだ。こりゃ長い。長すぎる。映画が始まる前から疲れてしまった。
昭和初期に日本を舞台に諜報活動を行ったロシア系ドイツ人ドルゲと日本人情報提供者尾崎秀実のお話し。重厚にして濃厚な作品だ。
しかし、何てことは無い。このスパイ事件の事実としてのドラマは確かに驚くべきものだと思う。でも、これと映画としての面白さは全く別のものだと思う。ストーリーを追うのに必死で、それ以上でもそれ以下でもなかった。エピソードの枝葉をもう少し刈り込んで、幹のエピソードを肉付けすべきではなかったか?
時間だけ長く散漫な印象を受けた。

ドラマが無かった。
ゾルゲはドイツを裏切り、ソビエトと内通している。故郷に残してきた妻を裏切り、日本人の女性と情を通じている。彼の心の葛藤こそがこの映画が描くべき本題だったのでは? 彼の心の内面はあんまり描かれていなかったような気がします。

良かったのはモックンこと本木雅弘の演技。この人いつの間にこんなに芝居が出来る役者さんになったんだ! 驚いた。
それにしても、彼の罪悪感の無さは気になった。当時、そんな日本人がいたとはちょっと信じられない。彼はほんとうに、悩みも躊躇もなく情報を提供していたのか?
その他、葉月里緒菜、夏川結衣(彼女はボクのお気に入り!)も良かった。

エピソードを整理して、脚本を直して、せめて2時間ちょっとの上映時間にしてくれたらいいのにな。
まぁ、近代日本史に興味をお持ちの方は、どうぞご覧ください。

おしまい。