「ミー・ウィズアウト・ユー」

切っても切れないのは...


  

久し振りに九条にあるシネ・ヌーヴォ。地下鉄だと中央線の九条、バスだと九条新道。
ここにシネ・ヌーヴォが無ければ、九条は決して来ることがなかった街だと思う。でも、今では大阪市内でも割とよく行く場所の一つになった。ミナミや心斎橋よりも行く回数は多い(パラダイスシネマが無くなってからは余計にそうだ)。もう、この商店街のどこにどんな店があるのかだいたい覚えたし、美味しいお店もわかった。いわゆる馴染の街になったということ。

さて、今回観たのは「ミー・ウィズアウト・ユー」。イギリスの映画ですね。主人公は女の子が二人。この同い年の二人、年も同じだし、家は郊外にあり隣同士。周りからは「一卵性友人」と呼ばれている。彼女たちの20年間を追いかけたのがこの作品。
家は隣同士でも、家庭環境は全然違う。保守的なユダヤ人家庭と何かにつけ派手好みでゴージャスな家庭。それでもホリーとマリーナは大の仲良し。幼い二人は永遠の友情を誓い合う。
でも、ホリーはマリーナには言えない秘密を抱えている。それはマリーナの兄・ナットに憧れに近い恋心を抱いていること。でも、それは口に出さないだけで、マリーナにもちゃんとわかっていた。そして、マリーナはわかっていながら、この件に関してはホリーに意地悪ばかりしてしまう...。

まだ、小学生だった頃から始まり、ほぼ5年置きに時間は流れていく。
確実に形を変えながら二人のの友情は続いていく。その時、その時のエピソードを交えながら。万事に晩生で真面目なホリー、そして派手好みで(遊びには)積極的なマリーナ。好対照の二人。しかし、何故か、好きになる男のタイプは似ている(というか、マリーナはホリーが自分より幸せになるのを許せない)。大学の講師を取り合うエピソードは、なかなか笑わせてくれる。
だから、ナットがホリーのことを憎からず思っていることにも我慢できない。ついつい二人の間に入って邪魔ばかりしてしまう。きっとマリーナも兄貴のことが好きだったんだ。

やがて大人になった二人は別々の道を歩き始めたかに見えたのだが...。
ある年の大晦日、ホリーとマリーナとナットはパーティーのために故郷の家に集まる。それぞれの恋人を引き連れて。

二人の仲良しの物語りと見せかけて、実はホリーという少女が本当の自分を見つける、大人になるまでを描いた物語りなんだろう。真面目で臆病で不器用なホリーだけど、長い時間かかって、やっとわかる。それは二人の依存的な友情を解消する痛みは伴なうけれど、結果的にはマリーナにも自立を促すことにもなる。二人の関係は、幼い友達関係から、大人の関係に昇華したんだね。その方法はいささか泥臭かったけど。

ホリーを演じる女優さん(ミシェル・ウイリアムズ)は、どこかレニー・ゼルヴィガーを彷彿とさせるような容貌(単にぽっちゃりしているだけか?)で、時折とってもチャーミングに見える。なかなかいい。でもこの映画で一番かわいいのはホリーの子供時代を演じた子役さんだったりしてね。

観ていてスッキリとはしないけれど、最後は「良かったね」と思える作品。是非にともオススメするような作品でもありませんが、女性なら共感できる部分がたくさんあるのかもしれません(逆にボクにはあんまりなかったけどね)。
もうしばらく(6/13まで、最後の一週はレイト)九条のシネ・ヌーヴォで上映しているようです。

おしまい。