「金玉満堂/決戦!炎の料理人」

軽い気持ちで観る、お正月映画


  

「キンタマショクドウ」

この映画「なんちゅうタイトルや!」って長い間思い込んでいた。
よくよく見ると「キンギョクマンドウ」とは...、知らなかった。
レスリーの死を嘆いての追悼上映は、この日から梅田のガーデンシネマから場所を動物園前のシネフェスタ4へ会場を移す。この後も、宝塚のシネピピア、新開地のパルシネマしんこうえん、千里のセルシーシアターなどへ続いて行く...。
この朝、環状線に乗って新今宮に向かっていたらケイタイが鳴った。一緒に観る予定の君蔵さんから「もの凄い並んでますよ!」。ウ〜ム、レスリー恐るべし。

主演はもちろんレスリー。相手役にアニタユンだから「金枝玉葉」のコンビですね。アニタユンは「金枝玉葉」の時の方がかわいかったかな。
この映画、きっと香港のお正月映画だったんだと思う。メッセージ色なんてまるで無くて、毒にもクスリにもならないけれど、老若男女誰が観てもおかしく楽しめる。そんな罪のない作品。悪役もちゃんと用意してあり、最後は大円団。
だから、この映画は何も考えずに気楽に笑って観るのに限ります。

ストーリーはあってないようなモノだけど、一応あります。レスリーがどんな料理の技を披露してくれるのかと思ったら、それは無い(ちょっとがっかり)。
レスリーはやくざ稼業から足を洗って料理人になろうとしている。でもその動機が不純。映画の中では山口百恵(嗚呼、懐かしい名前だ!)が芸能界を引退してカナダに移住する設定になっており、百恵ちゃんに会うために料理人になってカナダへ行きたい、という理由。百恵ちゃんって香港でそんなに人気があったの?
最初はそんな展開だったのに、いつの間にかレスリーとアニタユンはストーリーの進行役に徹し、本題の「料理対決」の様相を帯びてくるのだ。で、対決するのはレスリーが転がり込んだ料理店のオーナーシェフチームとこの店の乗っ取りをたくらむ料理の超人(だったかな?)チーム。
その昔、北京の皇帝が漢族と満族の和解のために三日三晩続けたという「満漢全席」という料理で両者は対決する。ところが、オーナーシェフは手を怪我してしまい包丁が握れない。レスリーとアニタユンではとてもじゃないが代理は出来そうにない(一応、二人は涙ぐましい努力はするんだけどね)。これではみすみす超人チームに店を差し出すようなもの。そこで二人は広州にいるというかつての料理の天才を捜しに出かける...。
二人がようやく捜し出した天才はもうその腕がすっかり錆び付いていた。果たしてこのアル中オヤジに店の将来を任せても大丈夫なのか?

レスリーとアニタユンが作る料理とは呼べないようなシロモノはともかく、それ以外に出てくる料理はどれもこれもが涎を誘う。空腹時にこの映画を観るのは身体に毒。
しかし、中華料理っちゅうのは奥が深いねぇ。

それでなくても楽しいお正月を、もっと盛り上げようというこの映画。その狙いは充分達成されていると思います。
最後のエンディングもいいね。こんな終わり方も香港映画では珍しい。

必見ではありませんが、チャンスがあればどうぞ。
「ある日の真夜中、TVからレスリーの声が聞こえると思ったら、この映画だった。それを偶然観てしまう」そんなノリでお楽しみ下さい。
ほんの端役だけど、途中、道路で写真を撮っていて(速度違反の取り締まりをしていたのかな?)クルマにぶつけられてしまうお兄さん役、なんと若かりし頃のラムシューなのには、ちびっとびっくりしました。

おしまい。