「アザー・ファイナル」

真っ白なサッカーボールの行方は...


  

地下鉄で梅田まで戻り向かったのは、Loft地下にあるテアトル梅田。こちらでもこの日初日を迎えた「アザー・ファイナル」。初日の初回で20名弱とはちと淋しい。

昨年、韓国と日本で開催されたワールドカップはまだ記憶に新しいところ。日本中、いや世界中が熱中しましたね。特に日本が出場した一次リーグの3試合と、決勝トーナメントのトルコ戦の興奮は今でも忘れられません(ボクはチュニジア戦は仕事を休んでTVの前で応援してました)。
で、ファイナル(決勝)がヨコハマ行われた2002年6月30日。その同じ日、ヒマラヤの麓にある小国ブータンで、もう一つのファイナルが行われていた。
その試合はFIFA(国際サッカー連盟)に所属する世界203の国と地域の中で、202位にランクされるブータンと、最下位203位のモントセラト(カリブ海に浮かぶ小さな島でイギリスの統治領)が最下位決定戦を行うという「裏ファイナル」。

場面場面に出てくる、大きく弾む白いサッカーボールが印象的。

この試合が開催されることになった経緯から試合当日の模様までを盛り込んだドキュメンタリーがこの作品だ。極力演出を押さえて淡々と描かれている。この突き放したような淡々さがこの作品の魅力。もちろん、どんなシーンを撮って、どんなカットを残すのか恣意的な部分はある。でも、感情に流されることなく、どこかクール。

ボクはこの作品を観て「サッカーの原点を見た」とか「サッカーって素晴らしい」などとは思わなかった。だけど、サッカーは世界中の人々から愛され、世界中の人たちを熱狂させるスポーツなんだと再認識しました(松井が活躍している大リーグより凄いゾ!)。
また、サッカーの試合だけではなく、5日間をかけてブータンに到着したモントセラトのメンバーが練習の合間に現地の人々と交流する姿や、両チームの交流パーティの様子になんだか感激しました。
ブータンの人たちが普段に着ている服装は、なんだか日本の和服みたいで、彼らの顔つきとも相まって親近感が沸きますね。
そうは言っても、やっぱりサッカーはゲーム。両チームとも「勝ちたい」という強い意欲を持ってこの試合に臨んでいることが、ヒシヒシと伝わってきます。この試合に勝ってどうのこうのではないんだけどね。

真っ白なサッカーボールは、商業主義に侵されていない純粋なスポーツの象徴なんでしょうね。

ドラマッチックな展開や大きな感動などとは縁遠い作品ですが、観終わって爽やかな気分になることは間違いありません。チャンスがあればご覧下さい。4/18まで上映中。
サッカーと言えば4/19から公開予定のイギリス映画「ベッカムに恋して」もなかなか面白そう!

おしまい。