「デアデビル」

どうも冴えない!


  

今回も試写会。会場は新大阪のメルパルクホール。試写会はたいてい満席と相場が決まっているけど、今回はちらほらと空席もある。メルパルクはちょっと立地が良くないのからね、仕方ないか。

拝見したのは、ベン・アフレック主演のアメコミ実写作品「デアデビル」。
一言で言うと「昼は全盲の弁護士、夜は悪を挫くヒーロー、デアデビル!」って感じ。

それが、この映画どうも冴えない。

同じアメコミ実写ものとしては「スーパーマン」「スパイダーマン」や「バットマン」なんかがあるけど、それらと較べてもガクっと落ちる(ような気がする)。
それは、どうしてなんだろう、とちょっと考えてみた。

まず、彼が今回対決する悪の枢軸の設定がどうも腑に落ちない。このキングピンという男ニューヨークの下町ヘルズキッチンという地区を裏を糸で引き悪事を一手に引き受けるということになっているのだけど、それは言葉だけのお話しで、この映画を観る限り、ベン・アフレックの個人的な恨み(私怨)をこのキングピンに対して晴らしているとしか思えない。だから「デアデビル頑張れ! キングピンをやっつけろ!」なんて間違っても思えない。本質的にはこの悪者がしていることも、デアデビルがしていることもそんなに変わらないようにしか見えない(ある意味キングピンの悪者ぶりの表現が足らないのも原因のひとつ)。
これって、映画を観る際にかなり大事なことだと思う。
やっぱり正義のヒーローはあくまでも、誰が見ても「正義の味方」で、声援を送りたくなるような存在でないとアカン。デアデビルは、自分の失明の遠因を作り、父を死に追いやり、ガールフレンドの父親を殺して、なおかつなんか胡散臭いキングピンを成敗しただけだ(その割には土壇場で彼を殺さないのも不可解)。
だから、世間も新聞記者も警察もデアデビルが正義の味方なのか単なる悪漢なのか判断を付けかねている(もちろんこの映画を観ているボクたちもしかり)。

それと、全盲だから仕方ないけど、やたらめったら場面が暗い。もうちょっと明るい場面が多くてもいいんとちゃうのかなぁ。
さらに言うなら、デアデビルが全盲であるという根本の設定そのものがちょっとムリが大きすぎるよなぁ...。しかも、視力を失った瞬間に視力以外の全ての感覚において超能力的なものを手に入れ、運動能力も格闘系の能力も超人的なものを発揮するなんて、ちょっと説得力に欠けるで。これならクモに刺されて能力を得る方がよっぽどマシや! 
また、どんな辛酸を舐めて弁護士の資格を得たのか、格闘技を修得したのか、努力の跡を見せないとね。あまりにも突飛すぎます。
最後にもうひとつ。ヒロインをあんなに簡単に殺してしまってはいけません!

ふつう、よっぽどのことが無い限り、粗は目についてもどこか良い部分があるもんです、映画っちゅうもんは。だけど、このデアデビル、「よっぽど」の作品なんでしょうか、どこにも良いところが無い。これっぽっちも無い。
ボク自身、辛口のコメントを残すことも少なくないけど、ここまで救いようのない映画も珍しい。
「スパイダー・少年は〜」と双璧をなすトホホ作品です。ご招待を頂きながらこんなことを書くのもなんですが...ね。
ヒロインは死んでしまったけど、悪の枢軸およびその手先ブルズアイ(コリン・ファレル)は死んでいない(殺されていない)という思わせぶりな終わり方だけに、かなり高い確率で続編が撮られるのだと思います。
しかし、これでアメリカで公開3日目までも興行成績の記録を更新したらしいので、どうも首を傾げます。いくら売れっ子のベン・アフレックが主演とは言えねぇ...。

4月5日から、梅田ブルク7ほかでロードショー公開されるそうです。どれだけの興行成績を挙げるのか、今から楽しみです。
蛇足ながらオマケが付いているので、エンドロールが始まってもそそくさと席をお立ちにならないように! このオマケが一番楽しかったりして...

次回はまたしても試写会にお邪魔して来ました。韓国発の本格ホラー・ムーヴィー「ボイス」をご案内します(ほんまに怖かった!)。

おしまい。