「ボイス」

愛しているなら電話に出て!


  

レスリーチャンが亡くなってしまった。
ショックを受けた。もうレスリーの新作を観ることが出来ないなんて、ちょっと信じられない。
初めてレスリーにスクリーンで会ったのは、三宮のアサヒシネマで観た「西邪東毒」。時代劇でもう一つよくわからない作品だったけど、ストイックな役柄だったように記憶している。それから何作品か観て、最近では去年の暮れに九条のシネヌーヴォで「覇王別姫」「ブエノスアイレス」を続けて観た。「覇王別姫」で見せた妖艶な姿は忘れられないし、「ブエノスアイレス」での蓮っ葉な顔つきももちろん強く印象に残っている。
そして、今年の2月に観たのが「カルマ」(大阪では4/5公開)。まさかこの映画で見納めになるとは夢にも思っていなかった。正直言って“遺作”としては全然物足りない作品だ。エリート精神科医の役柄で、完治した患者と恋に落ちるのだが、今度はレスリー自身が過去の亡霊に蝕まれてしまうという、今考えるとなんとも思わせぶりなストーリー。でも“最後の映画”なので是非ご覧下さい、動物園前シネフェスタ4で上映中です。
ボクが好きなレスリーは「金枝玉葉」。肩に力が入っていない、軽いタッチのラブコメディ。最初はなんとも思っていなかった女の子(男の子?アニタユン)に少しずつ心が傾いていく、そんなレスリーの表情が良かったなぁ。
レスリーは鬼籍に入ってしまい、あの妖艶さも、子供っぽさを残す笑顔も、もう思い出の中にしかいない。淋しいね。 
折りしも、香港は原因不明の肺炎(重症急性呼吸器症候群・SARS)の流行でパニック状態。何もこんな時に...と思うけど、こればっかりは仕方ないか。
ご冥福をお祈りします。

さて、今回ご紹介させていただくのは、試写会で拝見した韓国発のホラー・ムーヴィー「ボイス」。
もともと怖い映画は好きではないのだけど、ここのところ観たホラー映画は「13ゴースト」「ゴーストシップ」「ザ・リング」「ダークネス」などホラーと言ってもソフトタッチの作品だったので、今回もそんなに怖くないだろうとたかを括っていた。それに韓国映画だけに「ボイス」を見逃すわけにはいかない。試写状片手にのこのこと厚生年金会館へ出かけて行った。
厚生年金の前にあるそんなに大きくない公園はサクラが満開。ぼんぼりに明かりが灯され、すっかり「お花見モード」に入っていました(これじゃ、今年のサクラは桜花賞までもたないよ!)。

いやぁ、ごっつい怖かった!
もう、ゾクゾクしっぱなしで、サムイモ出まくり。背筋は冷え切ってしまった。
もう、明日から携帯電話に出られない。自分の番号の下4ケタが6644とちごて良かった!

視覚から来る怖さよりも、効果音でビビらされてしまう。
それよりも何よりも、この映画に重要な役目を担って出てくる幼稚園児ほどの子役(ウンソウ)。この子が凄い!
まぁ、はっきり言って、いっこもかわいくない。最初は「なんでこんなぶっさいくな子役を使うんや」と思ってしまった。でも、この子の役割が大きくなるにつれ、どうしてこの子なのか、だんだんわかってくる。顔とは関係無しに、この子芝居が出来るんや。それも、悪びれず大胆な演技が。これには驚かされる。貰ったチラシに「あの“エクソシスト”のリンダ・ブレアを凌駕する」と書かれていたが、それも頷ける(しかし、この例えは古すぎるで!)。

ストーリーの紹介は致しませんが、怖いのは間違いありません。
後からこうして思い返すと「なんで...」と思う場面も少なからずあるけど、映画の最中はさほど気にならず、一気に楽しめ(?)ますよ。

例の子役以外に、3人の女優さんが出演。一人は「リメンバー・ミー」でユジテの恋人役をしていたハジウォン、もう一人はボクには初顔のキムユミ、そして女子高校生ジナ役のチェジヨン。
このチェジヨンがなかなかかわいくて良かったな。是非、別の作品で、出来ればもっと明るい役でお会いしたいと思います。
4月下旬からゴールデンウィーク全国ロードショー。怖いもの観たさの人にはおすすめです(でも、この怖さもなんだか尻つぼみなんやけどね)。

携帯の番号下4ケタが6644の人は、すぐに番号を変えた方がいいですよ!

また、そう遠くなく公開予定のタイの映画「The EYE」。この映画もごっつい怖いらしい。今から楽しみと言うか、何と言うか...。

おしまい。