「旅立ちの汽笛」 |
中央アジアからやって来た地味な青春物語 |
何年か前に「あの子を自転車に乗せて」というキルギスタンの映画を観た。なかなかいい少年の物語りだった。今回観てきたのは、その映画の続編ともいえる作品。監督も同じだし、主演(監督の息子)も同じ。ただ、時は流れているので「あの子〜」の時に少年だったチンプは青年に成長している。
チンプは学校を終え、兵役につくまでの夏を何をするわけでもなく仲間と過ごしている。年のころは17か18ほどでしょうか。
そんなチンプのほのかな思いとは全く関係なく、彼の家庭では父親と母親の不仲が日増しにひどくなる。いくら注意されても一向に酒を辞めることができない父親は、この晩も飲んだくれてしまい、乗って行った単車をどこかに置き忘れて帰ってくる。そんな父親を母親は激しくなじる。そんな二人を目にしてチンプは戸惑い、悩む。
軍隊に行くまでの間に過ごす日々は貴重なはずなのに、チンプの周りではいろんなことが起こる。 子供の気持ちの延長上に甘い気持ちで乗り込んだ兵舎行きの汽車の中で、兵士から手厳しい洗礼を受ける。このときチンプたちは大人への階段を確かに上がり始めてんだなぁ。チンプを載せた汽車は痣のある女が掃除をする踏切の前を汽笛を鳴らしながら通過していく...。 テアトルで去年上映されている時には行けなかった。西灘劇場でも上映されることになり、ようやく観ることができました。平日の最終回とあって、10名もお客さんはいなかったけど、こんな地味な作品だものね、仕方ないか。 おしまい。 |