「フル・モンティ」

悩める男どもよ、自信を取り戻せ!


  

三寒四温を地で行く今日この頃。できれば四温の部分が週末にかかって欲しいけど、そう上手くは行きません。どうもこのところ続けて週末は天気が崩れ、気温も上がらない。この土日、外へは真冬の格好をして出掛け、家に居るときには火鉢に炭を入れていました(新しく炭とお餅を追加しました)。
今度の炭は備長炭を買いました。普通の木炭とはちょっと違い、着火の温度が高く、火鉢で使う時にはコツと工夫が要るようです。三回使ってみてやっとそれがわかりました。でも一度火がつけば火持ちがよく温度も高くてなかなかいいですね。お餅もすぐに焼けます。このあと何回使うかわかりませんけど。

さて、四温の部分に当たっていたウィークデイのレイトショー。もう一度「バルニーとその仲間たち」特集を九条に観に行きました。一度家に戻り、食事を済ませてからクルマで出かける。今回は「フル・モンティ」97年の英国映画。前から観たいなと思っていたのですが、ようやくスクリーンでめぐり逢えました。
「バルニー〜」でゲイの英国人・マークで役で出ていたヒューゴ・スピーアが、この「フル・モンティ」には主人公たちと一緒に踊る巨根のお兄さん・ガイ役(今回もちょっとゲイが入っていますが)で出演しています。このヒューゴ・スピーア、他の作品でも見かけたことがあるような気がするんだけどなぁ...。

不況真っ只中のイギリス中西部シェフィールドという工業都市が舞台(この映画の冒頭はなかなか良く出来ている!)。この街の工場に勤めていたが、工場閉鎖に伴ない失業者になってしまった男たちが主人公。稼ぎは無く、職安へ並ぶ日々がもう半年も続いているが再就職は難しい。そんな折に必要に迫られて一攫千金を賭けて取り組んだこととは...。
主役のキャズ(ロバート・カーライル)は、失業しているだけでなく、離婚をし、小学生の息子の親権を巡って元の妻との争いが続いている。でも、息子の養育費を捻り出すことが出来ない。700ポンドの養育費を払わなければ、もう息子とは会えなくなってしまう。ギャズの相棒デイブ(マーク・アディ)はスーパーに勤める奥さんに扶養して貰っているような生活に、すっかり自信を無くしている。旦那として男として役目を果たせないことや自分の太りすぎの容姿に悩んでいる。そんな二人が自殺しようとしているロンパーを見つけ、なんとか自殺を思いとどまらせる。
そうこうしているうちに、同じく失業した工場の管理職だったジェラルドが社交ダンスを踊っているのを見かけ、あることを思い付く!

映画の背景は、イギリスの労働者階級を描いた「ブラス」とかなりダブる(しかし、好景気に沸く英国労働者の姿って見たことないよなぁ)。失業や不況などの苦境に陥り、そこから這い出るために何かに立ち向かい、それを成し遂げることによって自分たちの自信を取り戻す、そんなストーリーも似ている。「ブラス」は正統派の真面目路線だったのに対して、この「フル・モンティ」はコメディ路線。趣は異なるけど、表現が違うだけで描きたいことはほぼ同じなんですね。
ただし、この映画を観て、感動したり、「俺もがんばろう!」と思ったり、勇気づけられると言うのはちょっと難しいとは思うけどね...。

痩せたて精悍な顔立ちのキャズとふとっちょでお人好しのデイブ。この組み合わせはコメディの王道。この二人を中心にして繰り広げるストーリーは奇想天外ながら着想が良く「ひょっとしたらこんなことがあるかもしれない」と思わせてくれる(実話なのかなぁ?)。都合が悪い部分があったり、辻褄が合わないかなぁって部分もあるけど、そんなこと気にせず話しを進めていけるパワーを持っているよね。いつの間にかこいつらを応援したくなっている(ちょっとは真面目に働けよ! とは思うけど)。
結局、6人で2,000ポンド儲けたところでどうしようもないんやけど、そんなことが言いたいのではない。何かを成し遂げて彼らが自信を取り戻せたことが大切なんだろうな(それが、ある意味「男のプライド」を投げ捨てる行為であったとしてもね)。

随所に甘い部分があって「?」も点滅しますが、まぁ許容範囲内。次回はいつ上映されるかわかりませんが、まずまずのオススメ。チャンスがあれば是非ご覧ください。おそらくビデオもDVDも発売されていると思います。アクションや凝ったヴィジュアルでもないのでそちらでもOKですよ。
映画のタイトル「フル・モンティ」とは「スッポンポン」と言う意味だそうです。

おしまい。