「ホワイト・オランダー」

美しいけど毒がある


  

そう話題になることもなく、OS劇場でひっそりと公開されている(と思い込んでいた)この「ホワイト・オランダー」。水曜日のレディースデイでもガラガラだろうと思って出掛ける。(この日はC・A・Pに変更されていたけど)劇場に入ってびっくりした。50人以上入っている! そうか、意外と人気があったんだ。
ボクのお目当ては、お気に入りのレニー・ゼルウィガー。この映画では、従来の彼女のイメージとは反対の役柄を演じていると説明されているけど、ボクはこの作品で見せる少し気の弱そうなゼルウィガーが好きです。彼女のちょっと甘えたような声と喋り方も気に入っています。でも、今回はちょっと老け役だったので、ショックだったけどね。今後はアカデミー賞候補の「シカゴ」が公開を控えているし、「ブリジット・ジョーンズ」の続編の製作も決まったようなので楽しみです。

オランダーってどんな意味なんだろうと思っていたら、映画の冒頭でしっかり説明が入る。夾竹桃(きょうちくとう)のことなんですね。何でも白い夾竹桃には毒があるのだそうです。日本でよく見かける従来種は、ちょっと濃い桃色ですが、ここ数年で白やら淡いピンクの花も見かけるようになりました(ボク個人的には夾竹桃の花を見ると、何故か決まって、幼い頃の夏休み行事だったラジオ体操を連想してしまいます)。ほとんど予備知識なしに観たので、なかなか意味深なタイトルだと思ったのですが、映画を観終わると「なるほど」と納得できます。

主役の女の子(アリソン・ローマン)がなかなかいいなぁ。芝居も達者だし、並み居るベテランに負けない存在感を発揮しています。彼女の母親(ミシェル・ファイファー)は、以前何かの映画で見かけたことがあるような...。
この母娘二人を軸に物語りは回り始める。テーマは、もちろん母と娘の愛情。ボクが鈍感だからか、それとも男だからかなのかはよくわからないけれど、正直言ってこのお話しにはついていけなかった。あまりに美しく偉大で、過干渉の母親を持ってしまった娘が、特異な環境の下で母親からいかに自立していくかが、だいたい5年ほどの時の流れに沿って描かれている。最初のアストリッド(アリソン・ローマン)の姿は、まるで借りてきたネコのように、まるで母親の言いなり。それが母親が投獄され、アストリッドは里親のもとで暮らすようになり少しずつ変化してゆく(服装や化粧などこの変化の様子はなかなか見ものです)。
獄中にありながらも、なおも娘に対して影響力を発揮しようとする母親の姿にある意味嫌悪感すら感じてしまう。その結果、アストリッドは3年間で3人の異なった里親に預けられるという異常な体験を余儀なくされる。
しかし、受け入れる方も受け入れる方だね。自分の家庭にくすぶる火種を抱えていながら、どういう発想で里親になろうと思うんだろう? ちょっと不思議、理解できない。

正直言って、ボクにはあんまり面白くない映画だったけど、女性陣には好評のようです。
特に裁判で証言するしないが、何故母親からの開放につながるのか、そのへんが全く理解できませんでした。
アストリッドの彼氏がどう見てもあまりいい男ではないのも、ちょっと面白くないよなぁ...。

3/14まで梅田のOS劇場かC・A・Pで上映されています。

おしまい。