「スコルピオンの恋まじない」

さすがウッディ・アレン


  

前回東京に行ったとき、観ようとして観られなかったこの映画が先週から梅田ガーデンシネマで公開されている。このウッディ・アレンの新作はなかなか洒落ている。もちろん彼の映画はいつも洒落ているんだけどね。
どうやったらこんなアイデアが湧いてくるんだろう。感心してしまう。今回の映画は何故かモノクロの印象が強い、きっと先日観た「アパートの鍵貸します」と時代がダブるからだろうなぁ(すいません、時代はダブっていません、スコルピオンは40年代、アパートは60年代でした)。

衣装がいい。宝くじに当たるか、万馬券しこたま当てたら、生地を選んで、あとは「この映画でウッディ・アレンが着ているスーツに仕立てて!」と注文してみたい、もちろん帽子もセットで(そんな夢のような...)。
少しゆったりめの上着は襟ラベルの幅が少し広くて、胴はぜんぜん絞っていない。ポケットはスーツなのに三つともパッチポケット。ズボンは股上が恐ろしく高くてお臍から10センチは上じゃないかな。サイズはゆったりめ。もちろん裾はダブル仕立てでかぶらは細い。良く見たらずいぶん派手目な生地だ。

さて、お話しそのものは、シラフで聞いていると「な〜んだ」って感じだ。そんな子供だましのようなストーリーでよく映画になるなぁ、って感じかな。でも、このお話しも彼の手にかかるだけで、俄然輝きだすから不思議。
昔の会社って人がたくさんいたんだ。秘書や速記手はあんなワンピースを着て仕事してたのかなぁ。ウッディ・アレンの同僚たちもほんとうに仕事をしていたんだろうか? それとも単に毎日だべっていただけなのかなぁ。
損害保険会社の一見うだつが上がらないおじさん、実は敏腕調査員を演じるのが我等がウッディ・アレン。相手役にはこの会社の社長の愛人で、社内リストラに腕を振るうためにやって来た重役。一目会ったその日から、この二人は犬猿の仲に。今までどおり自由奔放に振舞いたい彼と、何事も無駄を省くことに生きがいを感じる彼女はいつも一触即発。
そんな二人がパーティ会場の余興で怪しげなマジナイを掛けられてしまう。
合言葉を耳元で囁かれると、あら不思議、さっきまであんなに反目しあっていいた二人がオアツイ関係に早変わり。さて、おマジナイによる二人のこいの行き先は?
ところが、このおマジナイ、二人にとっては恋以外にもなんともやっかいな効き目が表れたからお話しは思わぬ方向へ転がり始める。

ほんとうに上手い、巧い。 お時間があれば是非どうぞ。もうしばらく新梅田シティの梅田ガーデンシネマで上映しています。彼の最高傑作とは言わないけれど、観て損の無い作品だと思いますょ。

次回は、生のチョンジヒョンにころっとイチコロ。「猟奇的な彼女」舞台挨拶の模様をご紹介する予定です。

おしまい。