「ロベルト・スッコ」

何という後味


  

またシネ・ヌーヴォに来てしまった。
今回ご紹介するのはフランス映画の「ロベルト・スッコ」。中国映画祭の時に何度も予告編を見せられている。
ドキュメンタリータッチ(?)の実録犯罪映画。

1980年代にフランスで起こった連続「猟奇」事件の犯人とされるロベルト・スッコという青年の犯罪を描いている。
19歳の時、イタリアで両親を殺害して医療刑務所に収容されていたスッコは逃亡を図りフランスへ逃れる。そんなスッコが南仏のトゥーロンで16歳の高校生レアと知り合う。
そして、レアとまめまめしく付き合うカート(スッコ)と、次々に殺人、誘拐、強盗事件を繰り返すスッコの姿が繰り返し語られる。

何と言っても凄いのは主役を演じるステファノ・カセッティという人の白目部分だ! ひょっとして、この人、地でもスッコのような人なんではないだろうか? そんなことを思わせる。
でも、実はこの人、本業はデザイナーで俳優でも何でもない。演技するのは今回が初めてだそうだ(それにしてはウマイ、存在感あり。やっぱり地だったのか?)。

この映画を観ていて、正直言って「衝撃度」は高くない。
スッコが行う犯罪はどれもが理解出来ないからだ。

理由がない犯罪、全く理解不可能な動機。
だからスッコが何かに追いつめられて、とかそんなことは全然思わない。スッコに感情移入することも不可能。凄く「醒めた」気持ちで画面と対峙できるのだ。
それに、エグイ映像はそんなに多くない(あるにはあります)。
スッコを追う刑事にあまり魅力を感じない。家庭不和や女性の部下からのモーションなど思わせぶりだけで、全然踏み込んで行かない(いっそ、あんな描写はいらないほど)。

でも、この映画にはどこか惹き付けられるものもある。それはステファノ・カセッティという人が時折見せるオーラのせいかもしれない。
この人とはスクリーンでもう一度会いたいですね(怖いので実物には会いたくない)。
残念ながら先週一杯で上映は終了してしまいました。

おしまい。