「ブルー/Blue」

ボクは清渓川市場へ軍服を買いに


  

韓国でも当たらなかった映画は上映期間は短命に終わってしまう。
「マドレーヌ」や「口笛姫」などはソウルではもう上映が終了していた。
「光復節特赦」「色即是空」「品行ゼロ」は割りとロングで上映していたのに、ボクが着く前にタッチの差で上映終了。残念無念。
何箇所も映画館をハシゴすると時間がもったいないので、今回は「COEX(コーエックス)」という新都心(?)にある巨大なシネコン「Mega Box」で観ることにする。ここはなんと16ものスクリーンを持っている!
インターネットで時間割を引き出すと、予想通り観たい映画は全部やっている。しかも、同じ映画を複数のスクリーンで上映しているから時間の融通も効いて、ほとんど待ち時間なしでどんどんハシゴできちゃうので、朝の9時から19時まで、これからご紹介する4本の映画を次々と観ることが出来ました。

泊まっているホテルから地下鉄で30分ほどと見当をつけてる。地下鉄の乗り換えもスムーズだったのに三成(サムソン)駅まで40分ほどかかった。おまけに映画館の場所が広大なCOEXの中で地下鉄の駅から最も離れていて、Mega Boxにたどり着いた時にはもう上映時間になっていた。
しかも、チケットの買い方がよくわからない。「Ticket」と書かれたカウンターのお兄ちゃんにたどたどしくかつあせって「9時から始まるブルーが観たい!」と言っているのに「フンフン」と聞いてくれて「韓国語の映画だけど大丈夫か?」なんて質問してくる。「大丈夫!」って言ってから「今日、今からか?」「そうそう」。「じゃぁ、下のカウンターでチケットを買ってくれ」って。早くそれを言ってくれ!(そのカウンターは前売りのカウンターだった)
もう腹をくくって、下のカウンターでこの日観る予定の映画4本のチケットをまとめて買う。それが正解で、お昼を回ってからのチケットカウンターの前はほんとに長蛇の列。あれじゃぁチケットを買うだけで1時間はかかりそうだった。
もし、このMega Boxで映画をご覧になるのならCOEXにあるホテルへお泊りになるのをオススメします。グランドインターコンチネンタルホテル、COEXインターコンチネンタルホテルと二つの特1級のホテルがありますよ。この他COEXにはデパートも巨大なショッピングモール、シティエアターミナルもあるし、ロッテワールドもすぐそばにあります。でも、それ以外はちょっと不便だけどね。

シムウナさま亡き後、ちょっと「さまよえる魂」状態。次々と綺麗な女優さんは現れてはくれるんだけどね。
今回出遭ったのはシンウンギョンというスリムでチャーミングなお方。今回の役柄もあるでしょうが、時折見せるボーイッシュな表情がなかなかいい。しかも、海軍士官の白い制服姿に目を奪われますね。もう少し若ければ「悪い男」に出ていたソウォンみたいな感じかな。

まぁ、それはさておき簡単にストーリーをご紹介。
キムジュン(シンヒョンジュン、「飛天舞」「銀杏の木の寝台」の耐える将軍)とイテヒョンは幼馴染。子供のころは一緒に近くにある滝つぼに潜って遊んでいた。そんな二人が一緒に入ったのが海軍の潜水士養成所(兼士官学校?)。ここで同期にいたのがカンスジン(シンウンギョン)。キムジュンとカンスジンはちょっとしたことがきっかけで、埠頭で殴りいの対決(?)をする。キムジュンのパンチをまともに顔に受けたカンスジンは前歯を折ってしまう。そんなことがあってから三人はいつも一緒にいる仲良しになる。キムジュンとカンスジンはいつしかお互いに惹かれあう...。やがて三人は訓練を終え少尉として配属される。しかし、キムジュンはふとしたきっかけで親友のイテヒョンがカンスジンに思いを寄せているのを知り、自分は身を引いてしまう。失意のカンスジンは英国留学への道を選ぶ。
そして、そんなことも忘れた頃。二人とも同じ部隊では訓練に明け暮れていた。ひょうきん者でいつも明るいキムジュンとストイックで厳しいイテヒョン。大尉として多くの部下を率いている。そんな二人の前に現れたのが新任の女性上官。それが少佐に昇任して戻ってきたカンスジンだった。カンスジンの着任に過去のいきさつを知らないイテヒョンは表情をほころばし、曇らせるキムジュン。
ある日、任務の方法に腹を立てたキムジュンは上官の中佐を殴ってしまい、憲兵隊に拘束され役職を解かれてしまう。そんな時「事件」が起こった...。

潜水部隊という特殊な環境でクライマックスは海中が舞台になる。そんな美しい風景、士官学校の同級生で男同士の友情と恋愛感情。なかなかドラマチックな筋立て。堅くなりそうなストーリーに対してシンヒュンジュンが時折飛ばすギャグに笑いも起こる。
ヒットの要素は存分にあるのになぁ。でも残念なことにお客さんの入りはもう一つ良くないよう。ボクが観たのが朝一番で、150名ほど入れる劇場に30名ほど。この日は「Blue」の上映が3回あったけどその後の回も「売切れ」の表示は出ていなかった。
どうも今の韓国では軍隊ものとか北朝鮮ものとか、そういうストーリーは受け入れられにくいような気がする(「気がする」だけで本当かどうかはわからないけどね)。北の問題がほんとうに緊迫化してきたこととちょっと飽きられているせいだと思う。だからこの映画も中盤以降を軍隊の外に出して、企業のサルベージ部門にするとか、ダイビング教室にするとかして、もう少し雰囲気を軽くして、ラブロマンスを前面に出せば違った興行成績になったのではないかなぁ? ボクとしてはシンヒョンジュンとかシンウンギョンといった俳優の力が興行成績に繋がっているとは思いたくないんだけど...。

部隊にいる若い兵士でいつも反抗的な隊員、この人どこかで顔を見たことある。それに、キムジュンとイテヒョンをしっかりサポートするリンゴの隊員も中堅どころの役でちらちら顔を出す人ですよね。二人とも名前は出てこないけどね。

映画が終わってから、ボクは韓国人の知人に「軍服とかはどこに行ったら買えるの?」と思わず尋ねてしまいました。それほどシンヒョンジュンとかシンウンギョン、キムヨンホはかっこ良かった。
次の日、ボクは教えてもらった清渓川市場(東大門市場の北側一帯)に行った。気に入ったものはなくて結局何も買わなかったけどね(この市場は軍服を売っている店も数件あるけど、登山用品の専門店が多かったよ)。

次回は日本での公開が早々に決定したハンソキュウ主演の「二重スパイ」をご紹介します。

おしまい。