「同い年の家庭教師/My Tutor Friend」

キムハヌルは猟奇的にはなれないなぁ


  

2月に入ってちょっと体調を崩していたので、その厄払いも兼ねて(?)、突然ですが二泊三日でソウルへ行って来ました。どれだけ寒いかと、かなりの気構えで乗り込んだんだけど、案外寒くなくてちょっと拍子抜け。それでも深夜に屋台で飲んでたらかなり寒かったけどね。

今回はそーさんが先乗りしていて、現地集合。そしてそんなに休めないボクは一足先に帰るので現地解散。
ソウルで日本語学校の先生をしているオカダさん(仮名)に新村(シンチョン)の屋台でちょっと変わった焼肉を食べに連れて行っていただき、翌日は韓国人の知り合いのソジョンさん(仮名)とその義弟・従兄弟と6人で新川(シンチョン・発音が微妙に違う)でタコのプルコギを食べに行きました。
ボクにしては珍しく(?)気分がハイになっていて、良くしゃべり、良く食べ、良く飲みました。何でも美味しかったけどタコのプルコギは辛かった。
今回は大人しくソウルだけに滞在して、しかも人に会う意外はせっせと映画ばかり観ていたので、明洞(ミョンドン)とか南大門市場と言ったメジャーな観光地(?)には行かず。買い物もほとんどしなかった。それでもソウルで散髪をして、スカッとしましたよ。

到着したのが2/14だから、この日は日本でも韓国でもバレンタインデー。日本とは一味も二味も違うソウルのバレンタインは興味深かった。この晩は新村にいて、普段でも若者でごった返す街なんだけど、目に入るのは幸せそうなカップルばっかり、いつもはグループが多い街なんだけどね。これは、なかなか面白かった。
ソウルのバレンタインは日本と同じで、女性が男性にチョコを渡すんだけど、そのチョコのラッピングが凄い。普通の包装紙に包まれているのではなく、チョコを含めて様々なものを藤で編んだ籠(蓋のついていないバスケット?)の中に入れて渡します(その籠はレースで美しく包んである)。だから街中のカップルの男の方がその籠を手にし歩いてる。これは告白という感じではなく「唾を付ける」と言うか「確認」って感じなのかな。もてもてのお兄ちゃんも複数の籠を手にする訳にはいかないからね。女性の方も本命の男性にだけこの籠を上げるそうです。
もう一つはケーキ。籠を持っていないカップルは、中が見えないからどんなケーキかわからないけれど、日本だと「あの中にはチーズケーキが入っているな」って感じのケーキの箱を持っているケースが多かった。
街行くカップルの手には籠。そして、今から彼に会うために急いで歩いているお姉ちゃんも籠をしっかりぶら下げていました。しかし、男の方はあの籠の処分に困るやろなぁ。
オカダさんとは新村にある地下鉄の駅構内にあるベンチで待ち合わせ。待っている間に、何百組もの幸せそうな若いカップルが目の前を通り過ぎて行くんだけど、中にはこんな晩にケンカをしてしまったカップルも。女の子は泣きはらして顔中真っ赤にしている。男の方が必死になってなだめているんだけど、なかなか上手くいっていないみたい。結局、二人で地下鉄の改札に入って行ったんだけどあのカップルどうなったのか気になるなぁ。そうこうして、新村のバレンタインの夜は更けていくのでした...。

翌日は「テボルム(旧暦で新年初めての満月)」という晩に当たってました。
赤飯を炊いてお祝いをしたり、(上手く説明できないけど)熱を相手に渡すという習慣(熱を相手に渡すと、その年の夏を涼しく過ごせるそうです)があったり、胡桃や落花生を食べる習慣もあるようです(ボクも街を歩いていて女性から胡桃を二つもらいました。どうやら硬い殻を割る音に意味があるようでした)。またユンノリと呼ばれる路上で行う双六のようなゲーム(サイコロではなく筵の上に四本の木の切れ端を投げ付けて、幾つ進むか決める)が行われていました。
テボルムは日本で言うとどんな行事に当たるのかな?
その日にたまたま現地にいないと目にする事が出来ない行事や風習を幾つか観察(?)出来てなかなか楽しかったですよ。

  

いやぁ、前置きが凄く長くなってしまいました。
まず、新村で観たのは「同い年の家庭教師」。この映画はまだちゃんと決まった日本語のタイトルが無く、「家庭教師は同い年」とか「同い年であること、課外すること」とか言われていますが、映画を観た感じで一番しっくり来る「同い年の家庭教師」というタイトルで行かせてもらいます。ちなみに、英語のタイトルは「My Tutor Friend」。

この日はバレンタインと言うこともあって、映画館は一杯。ソウルでデートの一番人気は映画なんですね。安いし、寒くないからね。全館指定席。チケットカウンターには何時の回「売切れ」と表示が出る。
新村のグランドマートにある映画館は満席で入れなかった。補助席でもいいから!って粘ったけど駄目でした。仕方ないので、少し離れたミドリ劇場へ行くとこちらはギリギリでセーフ。ほんとに最後の席でした(その後すぐ「売切れ」の表示に変わった)。

キムハヌルが主演。
彼女は「リメンバー・ミー」でユジテと共演していましたね。とっても綺麗な若手女優さんですが、親近感が沸くと言うか、少し垢抜けないと言いましょうか。超美人ではない。少しヌカミソ臭いって言ったらいいのかな(表現が難しいですね、キムハヌルのファンの方ごめんなさい)。
何かに「キムハヌルは2003年の猟奇的な彼女だ」と書いてあった。正直言ってそういう狙いのラブコメディ。但し、ラブよりコメディに重点が置かれているけどね。
そして「火山高」で優等生の番長を演じていたクォンサンウが相手役で、彼に絡む元番長にチャンヒョク。この男二人のキャスティングだけで「笑い」を取れる(らしい)から凄いね(お互い「火山高」の時とはほぼ逆の立場になる役を演じている)。

では簡単にストーリーを紹介しましょう(ソウルでは当然、韓国映画に漢字や英語の字幕は付かないからこの映画の理解度は約半分。この映画はそーさんと観たので、映画の後で教えてもらったので80%ほどかな。この映画は特に動きや表情よりセリフでのギャグが多いくて結構難しかった)。
大学生のスワン(キムハヌル)は家庭教師のアルバイトをしている。今度から母親の友人の高校生の息子を教えることになった。その家を訪ねてみると、なんと凄い豪邸。この家にいるのは出来が悪くてヤル気のないドラ息子。英語を読ましてみると、これが全然あかん...。少しも勉強をしないジフン(クォンサンウ)に手を焼いていたスワンはやがて彼の正体(?)を知るようになる。何度も失敗して高校を転校させられていることや、留学やその他の理由で2年学年が遅れていること、そして何よりケンカが恐ろしく強いと言うことだ。
新しく転校した先の高校で番長をしていたのがジョンス(チャンヒョク)。この転校生に懲らしめてやろう手を出すが、反対にコテンパンにやられてしまう。韓国の学校では転校生はいじめられやすいようだなぁ。それでもこりずに何度もジフンに挑戦するジョンスって...。
随所に細かいギャグが散りばめられているようで、満員の劇場内は結構笑いに包まれている。でもこっちはポカ〜ンと意味不明で寂しいょ。
途中、警察沙汰を起こして、ジフンが父親からアメリカ行きを命じられたり、ジフンに憧れる下級生ホギョンとスワンの間で恋の鞘当があったり、スワンの妄想が現われたり、各人の思いがアニメになって表現されたり、スワンが約束を果たすためにモデルコンテストで踊り狂ったり、ジフンがスワンの憧れの先輩にジェラシーを感じたり...。観ているだけでもそれなりに面白い。

でも、キムハヌルはキムハヌルであってチョンジヒョンではない。やっぱり彼女は「猟奇的」にはなりきれないょ。そういう意味ではなかなか「のりきれない」作品だったように思います。
キムハヌル以外の出演者も学園モノを演じるには少し年喰っているしなぁ(「火山高」ほどぶっ飛んでいたらそれも気にならないけど)。元気なキムハヌルもいいけど、やっぱり彼女は深窓のご令嬢って役が似合っている。そう思うのはボクだけかなぁ?

でも、今ソウルで一番ヒットしている映画なのは間違いありません。それなりに楽しめるし、きちんとした日本語の字幕付きで観ればもっと面白いのかもしれません。
キムハヌルの衣装がどんどん変わって、かわいいですよ。ボクのお気に入りはモデルコンテストの時の衣装かな。しかしその賞品が炊飯器なのには笑ってしまった!

日本での公開は今のところ不明。どこかの映画祭では上映されるかもしれませんね、でもメジャー公開はどうかな、難しいかな?

次回は翌日にコーエックスにある巨大シネコンで観た「ブルー/Blue」をご紹介します。

おしまい。

※追記※
その後の調査(?)によると、上記ではジョンス役を「チャンヒョク」としていますが、「コンユー」という俳優さんの誤りでしたでした。ごめんなさい! 感じが似ていたのでてっきりチャンヒョクだと思い込んでた。