「アウトライブ −飛天舞−」

耐える愛はシンヒョンジュン


  

今回ご紹介するのは韓国映画の「アウトライブ −飛天舞−」。
何年か前にソウルへ行ったときに大々的に公開されていた作品。映画館の外壁一面にこの映画のポスターが「ド〜ン」と貼り出されていた。
関西では京都とミナミだけでの公開で、キタ地区での上映がないのは淋しい限りですね。ミナミの劇場はナンバ・千日前に堂々鎮座する千日会館。マクドの地下と書いてあるのでどこかなぁ、と探すとすぐにわかったものの、今となっては昔懐かしい「古風」な映画館。映画館へ行くというよりもマクドの地下倉庫へ何か取りに行くような気がします、ハイ。
スクリーンの両脇には男女別のお手洗いがあり、それを示す表示灯が上映中も灯っている。映写機が座席がある階よりさらに下の階にあり、鏡の反射を使って上映するという珍しい方式は一見の価値がある(?)。

韓国の映画というよりも、なんか香港の映画を観ているような錯覚に陥る。舞台も中国・江南地方だし、設定上中国人や蒙古人もたくさん出てくる(ただし、役者さんは韓国の役者さんだし、台詞は全てハングル)。衣装なんかも中国チックだしね。
ストーリーは明らかに「武侠もの」。原作はマンガだというから「風雲」のようなもんなのでしょうか。

簡単にストーリーを説明すると...(しかし、このストーリーはなかなか簡単に説明できそうにない)。
中国にいる高麗族の唯一の生き残りジナは長く家に伝わる「飛天神記」の奥義を極めるため修行に精を出している。時には近くに住む蒙古人の武将の娘ソルリと仲良く稽古をつけていた。いつしか永遠の愛を誓う二人だが、時代の流れは二人の愛を引き裂く。
紹興に連れて行かれたソルリを追ってジナも紹興に赴くがそこで知ったのは彼女の婚礼だった。それでも二人は人目を忍んで約束の地で一夜を明かす。しかし、ジナは矢を受け崖から谷底へ落ちてしまう...。
時は流れて、天下の趨勢は蒙古から華人に勢力が移ろうとしていた。華人の妻となり一男をもうけて幸せに暮らすソルリの身辺も急にきな臭くなってくるのだが...。

「銀杏の木の寝台」で遥か数百年の耐える愛を貫くファン将軍を演じたシンヒョンジュンが、今回も孤高に耐える男・ジナを好演(っちゅううか、ちょっと危ないよあんた)。ソルリには中国で大人気のキムヒソン。ソルリの華人の夫役のチョンジニョンはそのヘアースタイルゆえにだと思うけど若かりしころの地井武男に見えてしかたなかった。キムスロがジナを支える洞窟の親父役でちょろっと顔を出しているし、キムスロの娘にどっかでこの顔見た女優さん(「夜を賭けて」のユヒョンギョンだった)が出ています。

まぁ、見どころはその荒唐無稽で次から次へと展開されるストーリーと、ワイヤーアクションをふんだんに使った合戦(?)シーンなんでしょうが、原作をまったく知らないこちらとしては、登場人物の顔と名前を覚えて、その複雑な関係についていくのやっと。また、アクションもちょっとなんだかなぁって感じでそう興奮もしない。
ボク自身は「武侠もの」があかんとかそんなことはないのだけれど、どうも期待の割にはもうひとつの出来だったような気がします。きっと香港や大陸・台湾ではそこそこの人気だったと思うけどね。

興味をお持ちの方はどうぞ。急がないと大阪での上映は1/31までで終わっちゃいますよ。

おしまい。

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