「ラスト・プレゼント」

はかなげな美しさに涙が止まらない


  

今回は韓国映画。
「JSA」「春の日は過ぎゆく」で大人気になったイヨンエが主演している2001年の作品。共演はこれまた出演作が次々と日本で公開されているイジョンジェ。
大阪では先週の土曜から公開が始まり、なんとナビオTOHOシネプレックス、どんだけ大きな劇場を使うのかと思ったら7階にある劇場#7(ちょっとがっかり)。お客さんもそんなに入っていなくて、拍子抜けやなぁ。まぁ、平日だから仕方ないか。

これがもう、わかっちゃいるけど涙がぼろぼろ頬を伝う「催涙ムーヴィー」。
ボクも例によって恥ずかしながら涙が止まらなかった。ボクと同じ列に座っていたアジマなんか最初から最後までずっと泣いてたよ! 
写真館で写真を撮影するシーンは良かったね。これでジーンとしてしまいました。
それ以降のクライマックスにかけては、これでもかって感じで仕掛けどころには音楽も盛り上げるんだけど、ここまでしたら「やりすぎですよあんた!」。
幾つもの伏線や仕掛けが用意されていて、最後にすべてが一つに繋がる。その辺の仕掛けが割と巧妙で、ボクなんか最後のあたりまで気がつかなかった(ちゅうことはイジョンジェと似てるのかなぁ)。

さて、簡単にストーリーをご紹介すると...。
売れないコメディアン、ヨンギ(イジョンジェ)は妻ジョンヨン(イヨンエ)の子供服のお店のおかげでなんとか食べている。このところ夫婦喧嘩が絶えないのも仕方ないところか。そんなある日、ヨンギは怪しげな二人組みから声を掛けられる。1,000万ウォン(約100万円)を用意したら、来週にでもTVデビューさせるとその二人組みは言うのだ。その話を胡散臭いと思ったヨンギは断ってしまう。その二人はジョンヨンのお店にも現れて彼女にお金を要求するのだが、その話をしている最中にジョンヨンは倒れてしまい、救急車で病院へ運ばれる。後日、その話しを二人から聞かされたヨンギは妻の容態がのっぴきならないことを知らされる。
妻の死が遠くないことを知ってしまったヨンギは、病気のことは知らない振りをしてジョンヨンに優しく接する。仕事でもジョンヨンの内助の功があり、とうとうTVのお笑いコンテスト番組に出演することになったのだが...。

観ているときは確かに涙が止まらないメロドラマ。イヨンエの姿を見ているだけでなんかうるうるしてくる。
でも、そんなに突っ張って生きていなくてもいいじゃない。苦しいときや悲しいときはもっと旦那さんにあまえればいいのに。黙って耐えてお母さんのお墓の前でだけ涙することないじゃない、と思ってしまう。
イジョンジェだって、最愛の妻の命と引き換えに仕事で成功することがそんなに大切なのか? もっと他にすべきことがあるんじゃないか! と叫びたくもなる。それに、コメディアンになることにイジョンジェがどれだけ執着しているのか良くわからない。
それに伏線がちょっと複雑すぎて、クライマックスにあんまり生きてないんだよなぁ。せっかくそのために二人組みのサギ師というなかなか得難いキャラクターがいるのになぁ。

まぁ、そんなことは「粗探し」にしか過ぎない。
表面上は仲良くなくて、口を開けば喧嘩ばかりしている夫婦なんだけど、この二人は深いところではすんごく愛し合っている。その表現の方法がわからなくて口では喧嘩ばかりしてしまうんだ。そんなことが画面を通じて痛いほど伝わってくる(泣けるなぁ)。そして、こんな不器用な夫婦がお互いのためを思って奔走する姿には涙を誘われるのだ。いや、もちろんそれはイヨンエの薄幸ではかなげな美しさによるところが「大」なんですけどね。

そんなイヨンエに会いに是非スクリーンの前にお越しください。
もちろんオススメ。ハンカチかテッシュをお忘れなく!

おしまい。