「レッド・ドラゴン」

ひとまずアンソニー・ホプキンス・レクター三部作は完結


  

久しぶりの試写会。会場は大阪厚生年金会館大ホール。大ホールで試写会が行われるときは話題作が多い。
今回は「レッド・ドラゴン」。「羊たちの沈黙」、「ハンニバル」に続いてアンソニー・ホプキンスのレクター博士が活躍する。但し、本来の順番としては今回の「レッド・ドラゴン」が一番最初になる。アンソニー・ホプキンスがレクター博士を演じるのは三作目だけどね。

事前の情報によると「たいしたことない」とのウワサ。しかし、正直なボクの感想は「充分怖かった」、そして楽しめた。

トマス・ハリスのレクター博士三部作(上記の三作)はすでに読んでいるが、その内容はすっかり忘れていた。確かこんなストーリーだったはずやけどなぁ、というおぼろげな記憶はあったんやけど、ヒトの記憶というのはいい加減なもんや。映画が進行していって、その都度「ああ、そうやった!」なんて思い出していくんやから。
この映画を観ながら「もう一度読んでみたい」と思ってしまう。
この映画のいいところは、レクター博士役をアンソニー・ホプキンスが演じていることに尽きる。それだけで100点満点中99点を獲得しているようなもんだ。そして、難点を挙げだすとキリがない。それほどこのシリーズではレクター博士がキーを握っている。そしてアンソニー・ホプキンスのはまり役でもある。

「羊たちの沈黙」(1991年)から「ハンニバル」(2001年)まで、映画化には確か10年待たされた。でも今回はたったの1年半だ。そこにこの「レッド・ドラゴン」の惜しさがある。もうちょっとじらされてもよかった。慌てて映画化(しかもリメイク)しなくても良かったんとちゃうやろか。今回はレクター博士はほとんどが檻の中にいる。「ハンニバル」の時のようにフィレンツェを自由に闊歩したりはしない。ある意味、かなり「地味」なのだ。それがなんとも惜しい。映画化を延ばせば派手になる訳ではないけれど、地味なだけにもう少しヒネリ(描写の繊細さor仕掛け)が欲しかった。

今回はストーリーを紹介するのは野暮なだけなので、何も申しません。

もしこの「レッド・ドラゴン」で初めてアンソニー・ホプキンスのレクター博士にお会いになるのなら、まずこの「レッド・ドラゴン」をスクリーンでご覧になってから、「羊たちの沈黙」、「ハンニバル」の順でビデオかDVDでご覧になるのがベストかと思います。芸が細かいことにちゃんとつながっているのだ。
既にアンソニー・ホプキンスのレクター博士にお会いになっている方でも充分楽しめる映画に仕上がっていると思います。是非劇場でご覧下さい!
オススメです。

トマス・ハリスさん、早く「ハンニバル」の続きを書いて下さい! でも、映画化するときはジュリアン・ムーアやエミリー・ワトソンを使うのはやめてね(個人的には、次回作にヒロインにはダイアン・レインを希望します)。

おしまい。