「クライム&ダイヤモンド」

男が話し始めたストーリーとは...


  

金曜はそのまま半蔵門にあるいつもの宿に泊まり、翌日は午前中の飛行機で広島へ向かった。
我がサンフレッチェが第14節のホーム最終戦をレイソルと闘うのだ。試合前の時点でレイソルとは勝ち点が6。ヴィッセルとは5ある。この日、レイソルを叩けば、最終節で逆転の可能性が高まる大事な一戦。ビッグアーチまで駆けつける値打ちがある。
試合は沢田と高橋のゴールで勝った。ボクも意気揚揚と神戸に新幹線で引き揚げた。そしてその足で神戸で観たレイトショーがこれからご紹介する「クライム&ダイヤモンド」。
しかし、結局、サンフレッチェは最終節のコンサドーレ戦を落としてしまった。もし最終節に勝っていても、レイソル、ヴィッセルが共に勝ったので結果は変わらなかったんだけどね。涙、涙...。
これでサンフレは来年はJ2で闘うことになった。気を引き締めて、1年でJ1に戻って貰いたい。でも、これは簡単そうだけど、そんなに易しくはない。事実、アビスパ、ベルマーレ、フロンターレのJ1経験チームは今年の昇格争いから大きく脱落している。
今のところ関西にJ2のチームはない。来季は何試合応援に行けるのだろうか? また、今のチームから何人移籍していくのかもわからない。サンフレッチェというチームがどうなるのかとても不安だ。

さて、映画のお話し。

決して前評判が高いわけでも、大々的に広告を打っている作品でもないが、かすかに耳に入ってくる評判はなかなか上々。
大阪では心斎橋のシネマ・ドゥで神戸に先駆けて上映されていた。でも、このシネマ・ドゥはちょっと苦手な映画館なのだ。上映方法がプロジェクターを使ったVTR方式であることと、館内の雰囲気がどうも...。おじさんが一人では入りにくい(考えすぎか?)。そこで、神戸のリーブルでの上映を待っていたのだ。

ストーリーは二つのお話しが輻輳する面白い手法。 ある詐欺師の男フィンチ(クリスチャン・スレイター)が、ホテルの部屋から出ようとしたところ、いきなり額に拳銃を突きつけられ、部屋の中に押し戻されてしまう。拳銃の男は「毒舌ジョー」と呼ばれる殺し屋(ティム・アレン)だ。
ジョーは男を椅子に縛り上げてから電話を掛ける。クライアントに指定された口座へ料金を振り込ませるのだ、猶予は90分。電話が終わってからジョーはフィンチに話し掛ける。
「もし、お前が面白い話しを聞かせてくれたら、その命を助けてやってもいい。ただし、時間は振込みの確認が出来るまでだ(つまり90分間)」

椅子に縛られたフィンチはニヤっと笑い、そして語り始める...。

男が喋り始めたお話しは、果たして本当の話なのかそれともフィンチが頭に中ででっち上げたフィクションなのか? 
映画はこの男の話しの世界と、現実の世界が交互に現われる。そしてお互いのストーリーの帳尻が合おうとした刹那...。

骨組みがとても良く練られていて、ぐいぐい映画の中に引き寄せられていってしまう。
名作映画のセリフやシーンが数多く取り入れられており、昔からの映画ファンにはたまらない仕掛けがあちこちに散りばめられているのも上手い。ラスト・シーンもなかなか決まっている。
ここでは敢えて、細かいストーリーは述べないけれど観て損のない、上品なコメディ映画に仕上がっている。ちょっと主演の二人の線が細いのが気になるけど、脇がびしっと締まっていて、映画を観ている最中には全く気になりません。
ラスト付近をもうちょっとドラマチックに仕上げてもらいたかったな、って気もするけどね。まぁ欲を言ってはキリがないしね。

かなりのオススメ作です。まだ上映しているかな? 事情でご紹介が1週間ほど遅くなってしまいました。ごめんなさい。
次回は香港で観た大陸(中国)の作品「五月八月」をご紹介します。

おしまい。