「栄光のフォワードNo.9/女子サッカーに捧げる」

スポーツの光と影


  

この土曜日(11/16)は朝からいい天気だったけれど、前日からちょっと体調が悪い(風邪をひいてしまったようだ)のと寒さに負けて、何処へにも行かず。
午後からは信楽に知り合いの陶芸作家の個展を覗きに行くはずだったけれど、これもパス。午後二時からはNHK-BSにかじりつきだ。
急遽放映が決まった我等がサンフレと鹿島アントラーズの一戦。もう後が無いサンフレがどんな試合を見せてくれるのか。興味はこの一点に絞られている。
圧倒的に攻められながらも、前半終了間際に大木のゴールで先取点。後半に入っても足が止まらず、久保の豪快なドリブルから森崎浩のミドルシュートで2点目。TVの前からだと声は届かないのはわかっていても、大声を上げてしまった。そのままタイムアップ。やればできるんだ(ちょっと遅いけど)! 
これで、次節のレイソル戦に勝てば可能性は少し広がる(レイソル戦もNHK-BSの中継があります!)。この日の大殊勲は久保と下田だ。元日本代表の片鱗を見せてくれた。しかし、喜びもつかの間、翌日曜にレイソルがまさかの勝利(ヴェルディしっかりせいよ!)。またしても蜘蛛の糸一本だけの可能性になってしまった。これで、レイソルとは勝ち点で6差、ヴィッセルとは5差。残り試合は僅かに2試合。頼むよ! 次節は広島ビッグアーチで応援の予定だ。

さて、天六のホクテンザにやって来ました。
ご紹介するのは大陸の映画「栄光のフォワードNo.9」という女子サッカーを題材に取り上げた作品です。もちろんドラマなんですが、どちらかというとドキュメンタリーを見ているような、そんな作品なのです。

ある女子サッカーのチームが解散してしまった。市の体育協会はオリンピックの種目にもなっていない女子のサッカーに強化費は出さない方針。選手たちはそれぞれの道を歩み始める。市場で魚屋を始める者もいれば、ホテルでドア係りとして採用される者もいた。ある選手は結婚して子供を産む。監督は夢を捨てきれず、日本の大学で女子サッカーのコーチをしていた。
そして1年後。チームに企業スポンサーが付くことになり、チームが再建されることになった。監督は日本での契約を更新せずに中国へ戻る。市の協会にも話しを付けて合宿所も再開される。メンバーも呼び戻され、練習が再会される。
しかし、何かが足りない。集まったメンバーの中にチームの大黒柱だった羅甜の姿だけが無かった。彼女は結婚し、赤ん坊を産んだばかり。夫とはサッカーはもうしないと約束を交していたのだ。

この映画は三つの柱からなっている。種目として世間に認知されていない女子サッカーをなんとか成功させたい、そのためには強くならなければならないという信念で私生活を犠牲にしてチームを強化する監督。監督の労に応えたいのはもちろん、でもそれよりも自分自身がサッカーが好きで仕方が無い羅甜、でも母親としてそして嫁としての責務も果たさなければならない板挟みに苦しむ姿。最後に女子サッカーが当時置かれていた苦しい状況だ。

用具もウェアも何もかもが揃っていない。企業スポンサーの顔色を伺いながらの試合。それでも純粋な気持ちで闘う選手たち。
そして、監督と彼女たちが迎えた結末とは...。

観ていて、胸が熱くなるような盛り上がりがあるわけではない。あえてそんなドラマチックな演出は避けているようにさえ思える。ほんとは「プロジェクトX」風に撮った方が良かったのではないか、とさえ思ってしまうほど、淡々としたストーリー展開なのです。
冒頭、グランドに散骨するシーン。最後にアメリカで開かれた女子サッカーのワールドカップで胸を張って入場する中国チームのメンバー。その影にはこの映画で描かれた、日の当たらない時代に頑張ってきた彼女たちの頑張りがあったんだなぁ、としみじみ感動する映画ですね。

中国の都市や省には各地に何カ所か「体育基地」という施設があって、そこには何種類かの競技を専門にする選手たちが合宿生活を送っている。年齢はだいたい小学校の高学年から高校生ぐらいまで(もちろん、競技によって異なる)。彼らは午前中だけこの基地で勉強の授業を受け、それ以外はずっと専門の競技の練習。生活費や寮費は各々の体育協会持ち。省の大会、地区の大会、そして全国大会へと駒を進めていくのだ。国家代表チームを頂点にするそのピラミッド型の選抜方法はシビアだが、底辺の広さも凄い。そんな国の選手を相手にして、日本のチームがなかなか勝てないのも頷けるなぁ。

この映画の上映は終了してしまいました。次回いつ上映されるかわかりません。まっ、チャンスがあればご覧になられてもいいかな、という程度の作品です。俳優陣も有名な方ではないしね。しかし、ある意味中国のものの考え方を知るにはいい教材かもしれません。

おしまい。