「マイノリティ・リポート」

ありゃら、どうしたスピルバーク!


  

この日は試写会にお邪魔してきました。会場は1,000名は入れる厚生年金会館の大ホール。作品はお正月映画の目玉の一つスピルバーク監督、トム・クルーズ主演の「マイノリティ・リポート」。
試写会はこの日だけで朝・昼・夕の三回構成だから凄いね。

もう一度観たい、という映画でもなかった。それが正直な感想。

題材はなかなか面白いし、目を見張るような近未来の描写は凄かった。でも、一番感じたのは、全てに「無理がある」という点だ。設定もしかり、最後のエンディングもしかり。それにアクションシーンもなんかイマイチ盛り上がらない。もったいないぞ。これなら、もっとドラマの部分を作りこんだ作品にすべきだったのではないでしょうか(ちょっと、偉そうだけど)。

西暦2050年のワシントンでは、殺人事件が恐ろしく減少している。それは、ヒトの性格が良くなったのではなく、未来に起こるべき殺人事件を予知する「犯罪予防局」の存在のためだ。未来の殺人事件を予知する特殊能力を持った三人のプリコグが指示を出し、殺人が実行されるまでに将来の殺人犯を逮捕してしまうのだ。
プリコグの予知は万全なのか? そこに誰かの思惑や指示が入り込むスキは無いのか?

ある日、犯罪予防局の主任刑事ジョン・アンダートン(トム・クルーズ)は自分の名前が殺人犯としてプリコグから予知されたのを知り、愕然とする。しかも被害者は自分とは何の関係も無い男だという。
これは自分を陥れようとする何者かの陰謀に違いないと判断したアンダートンは、犯罪予防局の捜査の手から逃げ回りながら真実を探し始める。

その過程で様々なことが明らかになっていくのだけど、果たして、プリコグがアンダートンが殺人を犯すと予知したことそのものが「わな」であったのかどうかは釈然としない。これは大きな問題だと思う。映画を観ている最中はストーリーを追うのに一生懸命で、この疑問は浮かんでこなかったけれど、映画を観終わってから冷静になって考えてみると、これは重大な片手落ちだと思う。
そして、計画的であれ突発的であれ「あなたは人を殺しますよ」と宣言された人は、実際に殺人を犯してしまうのだろうか? その場で罪の意識にさいなまれて殺人を止めてしまったり、狂気から正気へ戻る人だっていそうなもんだけどなぁ...。

まぁ、そんな難しいことはさておき、映画ではアンダートンがいろんな手を使って(目を使って?)追っ手から逃げる。そして、彼は逃げおおせてるのか? というのがこの映画のテーマだと思うし、最大の見せ場。

以前に買い物をしたお店に行って、そこに貼られている等身大のポスターからいきなり「杭州さま、いらっしゃいませ。先日お買い上げいただいた軽登山靴はお気に召していただけましたか?」なんて話し掛けられたら、正直言って恐いよね。

司法局のエージェントは「タイガー・ランド」に出ていたコリン・ファレル、今回はちょっと損な役回りだね。プリコグの一人には「ギター弾きの恋」で好演していたサマンサ・モートン。そしてトム・クルーズが訪ねていくホテルのフロントにいる男はこの1シーンしか登場しないけど「イン・ザ・ベッドルーム」で暴力をふるう旦那の役で出てた人ではなかったでしょうか(名前は知らないけど)?

前評判の割にはイマイチだけど、話題に乗り遅れたくないという方はどうぞ劇場でご覧下さい。12/7から梅田ではナビオの梅田シネプレックスなどで公開予定です。
この「マイノリティ・リポート」があかんかったら、このお正月は「ハリー・ポッター」の一人勝ちになってしまいそうですね。きっとそうだろうけどね。このポッターの第二弾はお正月に鑑賞予定です。

おしまい。