「インソムニア」

次回作に期待だ


  

すっかり空気が入れ替わって、とうとう「夏」ともお別れだ。ほっとするなぁ。まだ、日中は汗ばむけどね。
今回ご紹介するのは「インソムニア」。今年の一本目に観て度肝を抜かれた「メメント」の監督クリストファー・ノーランの新作。ようやく観てきました。公開されてから何週間か過ぎているのにブルク7はそこそこのお客さんが集まっていました。

期待はずれやった。

「フォロウィング」「メメント」と続いて今回の「インソムニア」には嫌がおうにも期待が高まっていた。今までの二作品と違い、アル・パチーノという大スターを起用し、予算も時間も潤沢だったはずだ。どんな傑作かとごっつい楽しみにしていたんやけどなぁ。

確かにそこそこのひねりは効いている。序盤から一気にたぐり寄せられるような迫力がある演出もさすがだ。
でもなぁ。
ボクがクルストファー・ノーランに期待しているのは「インソムニア」のような映画ではなかった。

注文を付けたいのは以下の三点だ。
まず、アル・パチーノがあまりにもあっさり同僚を射殺してしまうこと。確かにこれは「事故」だから、拳銃を発射することに躊躇はなかったと思うんだけど、その時のアル・パチーノの心情をもっとリアルに表現してもらいたかった。
そして、謎解き(?)があまりにもあっさりし過ぎていること。アル・パチーノの心の逡巡を通り一遍にしか描いていないので、どれが謎なのかすらよく分からない。
最後に、アル・パチーノ起用は荷が重たかったこと。いっそのこと現地の女性刑事役を彼に振って、L.A.から来る刑事をもっと軽い役者にさせた方が面白かったのではないか?

ノーランの映画は前二作もきっちりとオチが付いていたわけでもないので、映画の最後で何個も「?」が点滅しても構わないと思う。でも、アル・パチーノを使ったことで、白黒をハッキリ付けることを余儀なくされたような気がして仕方ない。
最後に「あっそうか」とおぼろげながら分かる楽しみが今回は無かった、と言うことか。

彼(クリストファー・ノーラン)の次回作に期待したいのは、原案・脚本も彼自身の作品を撮って貰いたいということだ。

かの「ゴッドファーザー PART2」から何年たったのか? アル・パチーノもほんとに年を喰ってしまったなぁ...。
もう少し、上映していると思います。

おしまい。