「重装警察」

ちょっと中途半端な...


  

続けて観たのは「重装警察」。
あの「美少年の恋」でうへぇーとなりながら見たダニエル・ウーが一応の主役。でもこの映画、彼が主役とは断言できない。アレックス・トゥーが主役なんだろうか?
二つのストーリーをむりやりくっつけて一つの映画にしてしまったような、妙なぎこちなさがある。尻切れとんぼになってしまったサイドストーリー、盛り上がりに欠けるラストなど、疑問に残るというか、もったいないと言うか...。でも、それが香港映画なんだけどね。
ボクのひいきであるトニー・ホーがまたしてもやるせない悪役(?)で出演。「花火降る夏」に出ていたキツネ目の女の子ジョー・クーもダニエル・ウーの部下役で出ています。

まず、一つ目のお話しは、香港警察ラグビーチームでチームメイトだった男たちの物語り。
その中の一人(チン・カーロッ)がマフィアが牛耳る地下銀行に潜入捜査官としていたが、捜査中に銃撃戦に巻き込まれ下半身不随の重症を負ってしまう。しかし、香港警察幹部はこの怪我の原因は彼の不適切な捜査にあるとして、彼に何の補償もせずに退職させてしまう。この処分に怒りを覚えたのがかつて彼と一緒に楕円形のボールを追っていた四人の仲間(そのリーダー格なのがアレックス・トゥー)だ。彼らは香港警察の中でも異なる部署に所属していたが、武器保管庫の管理係をしているトニー・ホー以外は退職してしまう。彼らは負傷を負った仲間のイギリスでの巨額な治療費を捻出するために、彼が潜伏していた地下銀行を襲うことにしたのだ!

そして、もう一つのお話しは香港警察のエリート集団、情報課特殊部隊の中でも重装武器専門のチーム「ヒットチーム」。このチームを率いるのがダニエル・ウー。
彼には苦く重い思いで頭が一杯だった。信頼する部下の一人を自分が泳げないことが原因で目の前で死なせてしまったのだ。だから、人目を忍んで海で水泳の練習をしていた(このシーン、なかなか笑えます)。
このチームに死んだ部下の代わりに配属されてきたのがジョー・クー。チームプレイを重視するダニエル・ウーだったが、このジョー・クーと古参のBJの折り合いがどうもしっくりいかない。
やがて、マフィアの地下銀行が何者かに襲撃される事件が発生。現場に駆けつけたダニエル・ウーは襲撃の手口と使用された武器から警察内部の人間がこの事件に絡んでいると睨むのだった...。

1回目の地下銀行襲撃では予定していた金額に遠く及ばない額しか入手出来なかった元警察官チームは、情報を収集し、別の地下銀行に大量の現金が集まる日に再度の襲撃を計画する。
しかし、ヒットチームももう一度襲撃があることを予想して、予防線を張っていた。当然、マフィアたちも今回は万全の構えだ(余談ですが、マフィアたちの用心棒のリーダー格を演じるおっさん、ちょくちょくこんな役柄で香港映画に出演しているんですが、何ていう名前なんでしょうね。なかなか味があるおっさんです)。

果たして襲撃は上手く行くのか?

と、まぁこんなお話しなのですが、映画そのものは、二つのストーリーが絡み合うあたりから俄然と輝きを無くしていく。
観ている側としては、友情厚いアレックス・トゥーやトニー・ホーに肩入れすればいいのか、それともやっぱり正義の味方であるダニエル・ウーやジョー・クーを応援すればいいのか? そのへんが全くわからない。この映画を作っている人たちもそうやったんとちゃうかな。だから、お話しの結末の付け方が不可解なのだ。

そんな訳で、決して面白くない映画ではないけれど、誰にでもお勧めの映画ではないような気がします。もう上映は終わったので、皆さんがご覧になるチャンスがそうあるとは思いませんけどね。
次回は、試写会で拝見してきた日本のアニメ作品「千年女優」をご紹介します。

おしまい。