「冷戦」

イーキンも大人になったなぁ


  

このところどうも体調がもうひとつ。自宅にいてもなかなかパソコンの前に向かう気がしない。この「偽ジェ通信」の配信も滞りがちだ。9月に入ったと言うのに一向に涼しくなる気配もないしね。いつまでも寝るときにエアコンのお世話になっているからかなぁ。みなさんも体調の管理にはくれぐれもお気をつけくださいね。

先週、動物園前のシネフェスタ4で観てきたのは香港映画。「冷戦」と「重装警察」の2本立て上映(もっとも「2本立て」と言っても料金はそれぞれに必要なんだけどね)。で、今回ご紹介するのは「冷戦」。

いやぁ、イーキン・チェンもすっかりスターの風格が出てきたねぇ。
いつまでも青臭い兄ちゃんだと思っていたけど、今回の「冷戦」ではすっかり一皮向けたって感じです(ちょっと偉そうだけど)。
共演しているのはカレン・モクとラム・シュー。ラム・シューは珍しく油の抜けた役柄で、こんな役も出来るんだと感心してしまいました。この役者さん、もう少ししたらエリック・ツァンのようなお父さん役ができるようになるんでしょうね。
カレン・モクは、この人お芝居もできるんだなぁ、って感じです。今までは映画に出ていてもほんとに「花を添える」って感じが多かったんだけど、今回はきっちりお芝居をこなしています。

さて、お話し。香港の暗黒街で台頭中だったロン(イーキン)はタイでの6年の服役を終え香港へ戻ってきた。ロンがその足で向かったのはかつての兄貴分ホン(ラム・シュー)が経営しているカフェ「九龍冰室」(カフェと言っても日本人が想像するカフェではありません、香港へ行ったことのある人ならわかるかな?)。
組織のために泥水をかぶってがむしゃらに働いた結果がタイでの服役という結果に終わり、監獄の中でアタマを冷やしたロンはもう暗黒街へ戻る気はさらさら無い。足を洗ってこのカフェでまじめに働こうと思っている。
ロンの帰還を知ったかつての弟分たちが彼を慕ってカフェにたずねてくる。そんな彼らにロンは「もう、足を洗ったのだ」と淡々と説明するのだ。ロンの意思の固さを知り、首をうなだれてカフェを後にする弟分立ち、彼らもロンがいない6年間にいっぱしの顔役になっていたのだ。
そんなロンの許へひょっこりやってきたのが「ロンの息子」と称する6歳になる男の子だ。そう言えばロンには思い当たる節がある...。そして、この子の母親(カレン・モク)の登場。そして、物語りは大きく動いていくのだ...(このストーリー展開はなんか東映のヤクザものでさんざん使い古された「定番」のような気もしますが...)。

今回のイーキンは父親役。いつのまにかこんな役も違和感無く演じられるようになったんですね。演技の幅も広がってこれからの活躍に期待充分。これでイーキンが脱皮しても、今までイーキンが演じていた層には次々とかっこ良くてイキがいい若手俳優が続々登場しているから香港映画はまだまだ大丈夫です。
イーキンの息子が通う私立学校の教師役にレイン・リーという新人の女優さん(ほんとはジジちゃんあたりをキャスティングしてもらいたかった!)。彼女もなかなかいい。このままうまくいくとクリスティ・ヤンのような感じになるのかな。

まぁ、映画そのものの出来としては「平均点」ぐらいとちゃうかな。イーキンのファンの方は必見でしょうが、それ以外の方にはどうでしょう? ただし、この作品がイーキンのターニングポイントになるような気がして仕方は無いのですけどね。

動物園前での上映は既に終了しています。次回は何時上映されるかは分からないけど、香港映画特集なんかで上映されそうなのでぴあなどを気をつけて読んでいると出会えるかもしれませんね。
この映画を一緒に観たのは10名ほど。しかし、映画館を公園のベンチかなにかと勘違いして終始ビニール袋の音をガサゴソ立てて弁当を食っていたとんでもない奴が若干一名。

殺すぞ!

おしまい。