「怪盗ブラック・タイガー」

タイの映画もいいぞ!


  

先日お邪魔した「アバウト・ア・ボーイ」の試写会で本編が始まる前に何本かの映画の予告編が流された。この予告編というのがなかなかの「クセモノ」で、ついつい誘われるように映画館に足を運んでしまうから始末が悪いね。
今回、4本ほど流れた中で「これは!」と思った作品がひとつ。「レッドドラゴン」という映画。
このタイトルだけでピンっと来たあなたはさすがですね。そうです、あのレクター博士をこの世にはじめて送り出したトマス・ハリスの小説「レッドドラゴン」の映画化なのです! この小説は1980年代に一度映画化されているらしいので、今回はリメイク版になります(ボクは未見)。前作はウィリアム・ピーターセンという方がレクター博士を演じられているそうですが、今回はまたもやアンソニー・ホプキンスがレクター博士です。やったー! 今回見た予告編にはアンソニー・ホプキンスが例の拘束服にマスクをかぶせられた姿で登場していました。嫌がおうにも期待が高まりますね。この映画は絶対に観るぞ! (もっともトマス・ハリスさんには早く「ハンニバル」の続きを書いていただきたいですね)

さて、今回ご紹介するのはタイの怪作「怪盗ブラック・タイガー」。
正直言うと一本取られました。やられたなぁ。

ありがちな(いや、それどころかどこかクサささえ漂う!)恋愛物語をここまでの作品に仕上げるなんて、このタイ映画界の力量に目を見張ってしまいます。このところタイの映画も何本か観ましたけど、この作品の完成度が一番高いと思います。そしてその分、タイの方々の映画を観る目も肥えているんでしょうね。程よくヒネリが効いて、映画の世界に引き込まれてしまいます。

主人公は幼馴染、でもお互いの身分の違いから二人の恋愛は成立しないのだ。男はある事件がきっかけで盗賊の一味に入りブラック・タイガーという名前で活躍(?)。お嬢様は彼を慕いつつも、父親の勧めるまま知らぬ男と婚約させられてしまう。その婚約者はブラック・タイガーの盗賊団を殲滅せんと奮闘している警察の大尉だ。いよいよ婚礼の夜、盗賊たちはパーティが開かれている家に夜襲をかけるのだ...。果たして二人はどうなるのか?
盗賊一味のアジトを包囲する警察の一団との対決などまるで西部劇を見ているようです。アクションシーンは恋愛ものとは思えない迫力で見応えたっぷり。全体をベールのように覆う退色したかのような古めかしい色彩。そして、吹き出しが出たり、効果的に使われるオールディズのようなメロディの数々。
よくぞここまで凝った作品を作ったものだ!
ただ、ストーリーそのものがいささか陳腐なのはどうしようもない。そして、致命的なのがヒーローとヒロインがどうもなぁ。この辺はタイの方々とボクの美的センスの違いだから仕方ないのかな。

会場はシネ・リーブル梅田。「チョコレート」に引き続いてレイトショーで拝見しました。日中の暑さに弱っていて、所々記憶が遠のいていた箇所もありましたが...。お客さんはボクも含めて5人とちょっと淋しい。来週の金曜までレイトのみで続映中です。
次回は香港の映画をご紹介します。東京ではアンディ・ラウとサミー・チェンが主演のラブ・コメ「ファイティング・ラブ」が公開中。大阪ではどこで上映されるのかな? 楽しみです。

おしまい。