「ラッキー・ブレーク」

トマトは恋の味?


  

このところスカッと晴れない。日本海に前線が停滞して、この前線へ南から暖かく湿った空気が太平洋から吹き込むから、近畿地方もちょっと不安定な天気が続いているのだ。
お陰で、このお盆休み中に予定していた大山遠征も決行できそうにない。
ちょっと残念だ。

前売りを買っていたのに梅田で見逃してしまい、神戸でやっているときも躊躇して行かなかった「ラッキー・ブレイク」を京都でようやく観てきました。さんざん予告編を上映していたにもかかわらず、興行的にはもう一つだったみたいですね。

ジミーは中年一歩手前の受刑囚。今までいろんな罪で服役してきたが、今回はけちな銀行強盗未遂で監獄の中だ。刑期途中で別の刑務所から移されて来た。ここには幼なじみで一緒に銀行強盗を起こしたルディがいた。
定年で退官も近いモーティマー所長の発案があり、囚人達で劇団を作り所内の古いチャペルでミュージカルを上演することになる。ジミーたちは警備が手薄で、道具も隠しやすいこのチャンスに脱獄を計画する。
ジミーは主役を演じることになり、相手役にはこの刑務所での紅一点、更生教官のアナベル。稽古を通じて、二人はだんだんとお互いを意識し始め、ついには恋に落ちる。「受刑者だからって、ディナーに誘えないわけじゃないのよ」という彼女のセリフは良かった。
そして、いよいよミュージカルが上演される晩がやって来た!

なんて言うか、ちょっとずつ「ぬるい」映画なのね。それはどうしてなのか、帰り道はそれをずっと考えていた。お話しは面白い。キャストもまあまあなのにな。
主演のジミー・ハンズ(ジェームス・ネスビット)がちょっと弱いかな。この役にはもっと骨太でぐいぐい引っ張っていくタイプの役者さんが必要だろう。そうしないと、百戦錬磨・海千山千の囚人連中が彼を支持して計画に協力することに説得力がない。今のままだと「どうしてかわからないけど、なんとなく」計画が上手く行ってるとしか思えない。だからもっと魅力的な俳優さんがよかった。
ジミーと更生教官のアナベルが恋に落ちるところも、いまひとつ説得力がない。これもジミーの線の細さが原因か? 確かにアナベルは魅力的な女性だ。だからジミーがアナベルに恋するのはわかるとしても、彼女がジミーに恋する必然性というか理由がないよな。

とは言うものの、罪のない(?)楽しい映画であることも確かです。
サイドストーリーも良く練られていて飽きの来ないし、囚人達のキャラクターもよく描けていますね(なんて、偉そうだけど)。
シリアスになりがちな題材をコメディタッチでまとめて、歌って、踊って、笑わせて、そしてホロっとするシーンも用意してあります。
ジミーと同室のピアノが達者な囚人・クリフ(ティモシー・スポール)がいい(この人どこかで観たことがあるようだけど、思い出せない)。このクリフをいじめる看守の人もいいですね。囚人ロジャーは「シャンプー台のむこうに」でライバル役の美容師を演じていた人ですね(あの時の方が良かったけど)。

関西だとこうやって梅田で見逃しても、神戸や京都で時差公開してくれるから助かります。京都朝日シネマさんありがとう!
次回は2カ月前に東京で見逃した「キルミー・レイター」を観に行く予定です。

おしまい。