「キルミー・レイター」

似たもの同士が強盗と人質


  

今年はよく夕立が降る。夕立が降ると地表の熱が奪われて涼しくなってもよさそうなものだけど蒸し暑さが増すだけで、何の効果もないところが悔しい。しかも、夕立が降る前に蚊に刺されれながら植木に水やり終えたりしたりしていると、一層腹立たしいね。でも、降らないよりはましか。

さて、そんな土砂降りの夕立が降る晩に観に行ったのが「キルミー・レイター」という映画。場所は動物園前シネフェスタ。レイトのみの上映で21:00から。
クルマで行きました。映画館で3,000円以上使うとフェスティバルゲートの駐車場が2時間無料です(4,000円だと3時間)。お盆だし誰もいなかったらどうしよう、と心配していましたが、ボク以外にも物好きな方はいるもので15名のお客さんでした。
この映画、6月に東京へ行った際に観る予定だったんだけど、スケジュールが押して泣く泣く断念した作品です。ようやく巡り会えましたね。

多分、低予算で撮られた作品。ノリは「メメント」や「フォロウィング」に何となく似ている、ざらついた画面なんかもね。才能はクリストファー・ノーランの勝ちだけどね。
設定はアメリカの都市だけど、ロケ地はカナダのバンクーバー。
この街の銀行に勤める女性は上司と不倫の真っ最中。でも、この不倫は将来に何の希望もなく、今の自分の生活に倦んでいる。上司とのこの関係も仕事もそして親子関係も、何もかもだ。融資の相談に来た若い夫婦にもついつい冷たく当たってしまう。そんな時目にしたのが不倫相手の上司とその妻の仲睦まじい姿。カッとした彼女はデスクに忍ばせていたラムのポケットボトル手にビルの屋上へ。
「ここから飛び降りて死んでやる!」
隣のビルから彼女の様子を見かけた人が警察に通報する。
折りしも、銀行の裏口には現金輸送車が到着した。そこへ待ち構えていた覆面の二人組みの男が係員に襲いかかる。現金の入った袋を奪い、その袋を運搬係のもう一人の男が乗るクルマに押し込んだまでは良かったが...。
ところが、銀行の玄関には飛び降り自殺を止めるためにこのビルに急行してきたパトカーが! 強盗たちはは警官と銃撃戦に。一人はお尻を撃たれて御用となり、もう一人はビルの中に逃げ込む。拳銃を片手に屋上まで逃げ込んだ男が人質に取ったのは、今にも飛び降りようとしていた例の女性だった。
「殺されたくなかったら、大人しくしろ!」と叫ぶ男に「早く撃って、殺してちょうだい!」と答える女。最悪の人質とドジな強盗の物語り。
いたるところに細かいギャグが敷き詰められていて、けっこうコネタで笑わしてくれるんだけど決してコメディタッチではなくシリアス路線。
似たもの同士が異常な状況下で偶然出会い、語り、そして心を通じ合わせる。そして、その結果は...。

前半はなかなかいいテンポで話しが進んでいく。でも、お互いの身の上話しを語り始めるあたりからトーンダウンしていくのがちょっと残念だな。男の方の身の上話しはもう少し上手く処理して、冒頭のあたりに挿入しておけば良かったのかな、ドラムを叩いてるシーンは不要だ。
それとFBIの捜査官がちっとも面白くないのが惜しい。この二人をもう少し上手く使えてたら中盤以降も面白くなっていたのにな!
1時間30分を切るぐらいの作品ですが、なかなか良く出来ています。
残念ながら上映は先週一杯で上映は終了してしまいました。今後上映される可能性は低そうなので、ビデオかDVD化されるまでお待ちください。

次回は同じく動物園前シネフェスタ4で上映される香港映画を観に行く予定。
しかし、この香港映画もしかパラダイスシネマが健在ならこっちでやってたのかなぁ...。

おしまい。