「初恋メリーゴーラウンド」

ぐるぐる回る


  

続けて観た「福岡アジア映画祭」の上映作は香港映画。「初恋メリーゴーラウンド」。
何の予備知識も持たずに観たこの映画。ボクの贔屓のエリック・ツァンが主演級で出演だ。嬉しかったなぁ。会場には香港映画ファンも多くお越しになられていたようで、玄人好みのギャグで沸いていました、これも嬉しかった。

ラジオで放送された連作ドラマが原作だそうで、この映画も九つの短い章から出来ている。
エリック・ツァン扮するお父さんは料理が大好き。食べるのも、作るのも。でも自分で作る料理はなかなか思う味が出ない。でも、ある決意をして、街角の閉店した飲食店を二ヶ月間借りる。ここで期間限定の麺屋(日本風で言うとラーメン屋さん)を開店することにした。
お父さんがシェフ。息子のコッフンと娘のココアがお店を手伝う。そこへ、以前ここにあったお店を手伝っていたというキャリリィがやって来て新しいこの店を手伝い始める。コッフンはこのキャリリィと恋に落ちる。そしてココアは、いつも閉店間際におばあさんと一緒にやって来ては一杯のラーメンを二人で分けて食べるロン少年と仲良くなる。
エリック・ツァンは狂言回しに徹して、この物語りの主人公はコッフン。
コッフンはキャリリィと付き合い始めるが、次第に彼女のお姉さんへマンが気になりだす。変に気が強くて女らしくないへマンだけど、へんてこなメガネを外すとぐっと女っぽい。ひょんなことからコッフンとヘマンはテレビのクイズ番組に出演することになる。その打ち合わせを電話でする二人の姿がかわいい。そして、二人はこの番組で優勝して賞品の日本旅行を手に入れるのだ!

この映画は「ぐるぐる回る」。日本へ行ったコッフンとキャリリィは日本へ行って山手線をぐるぐる回るし、キャリリィが好きなメリーゴーランドもぐるぐる回る、そしてコッフンはハッピーバレー競馬場の外周をぐるぐる走り回るのだ。
そうだ、恋も人生も、しょせんは「ぐるぐる回る」だけなんだ。案外、気が付いてみれば同じような位置に戻ってきてしまっているのかもしれない。

この作品のもう一つの特長は、豪華な出演陣。エリック・ツァンは押しも押されぬ大スターなのはもちろん。ロンの祖母役にはロー・ラン、その他にもケリー・チャンが意外な役で出ているし、彼女の弟ビクター・チャン、ビンセント・コク、そしてまだ若いけどニコラス・ツェーなんかとよく一緒に出ているお兄ちゃんもちょこっと顔を出していますね。

かわいい掌品。罪がなくて夢があふれていますね。
コッフンがキャリリィとへマンの間にはさまれて大いに悩むところもあるけれど、ボクに言わせればコッフンにはヘマンがお似合いだよ。でもね、意外とシャイで純情なコッフンはいいとこあるよなぁ。気に入りました。
コッフンを演じているのはローレンス・チョウ。ヘマンは「ゴーストワールド」のイーニド(ソーラ・バーチ)みたい(メガネだけか?)だけど、素顔はなかなかかわいいょ。ゼニー・クォック、近々日本でも公開される「金魚のしずく」にも主演しているそうです。この二人は今後に大いに注目です。

会場には監督のトーマス・チョウ氏がいらっしゃっていました。誠実そうな方で、なんか親近感がわきましたね。

おしまい。