「ギガンテック」

どうもすっきりせん!


  

「スコン」と気が抜けた青春映画。
もっともこの映画を青春映画と呼べるのならだけど。ストーリーも設定も細かいエピソードもどれを取り上げても青春モノなんやけどなぁ。ボクは胸が熱くなることもなければ、共感することもなかった。これはボクが年を喰ったせいなのか、それともドイツという国の国民性のためなのか、はたまた誰が観ても駄目な映画なのか...。

三人の男友達が、三人で過ごすことが出来る最後の夜を描いている。
ドイツ北部の港湾都市ハンブルグでいつもつるんでいる悪友仲間。その一人フロイドは保護観察処分中だ。この処分が解ける日、彼はほんとうの自分の居場所を見つけるために船に乗る決意をする。南アフリカを経由してシンガポールへ向かう船に乗り込むのだ。居場所が見つかれば、もうハンブルグには戻らないつもりだ。だが、そのことを他の二人に告げたのは、船に乗り込む前日の夕方。怒る二人。でも決意は変わらない。当然、三人は最後の夜を飲み明かそうということになり、街へ繰り出す...。

冒頭のカーチェイスはスピード感もあり「いい予感」に満ち満ちていたんだけど、それだけ。あとはさっぱり。やっぱり演出のせいかな。説明不足のシーンが多すぎる。もう少しセリフでフォローしてあれば、ぐっとわかりやすくなったと思うけどね。
サッカーゲームも盛り上がらない。表情と視線だけで演出しようという狙いはわかるけれど、それは失敗している。自己満足に終わっている。ここはもっとプレーヤーにしゃべらせるか、三人組の中でもおっちょこちょいの男の子に実況アナ風のセリフを付けて、音楽もバーンとしないと! 最大のヤマ場なのにさっぱり盛り上がらない。
同じストリーを同じ役者で違う監督がリメイクしたら、全く違う映画が出来上がっていたでしょうね。惜しいなぁ。もっとも、この盛り上がりのなさで、どうしてフロイドがハンブルグから逃げ出したいと思ったのかが良くわかったけどね。

シブヤ・シネ・ソサエティで6/28までレイトショーで上映中。蒸し暑くて細かい雨が降る木曜の晩でしたが15名の動員。関西での上映はどうでしょう? もし上映するなら扇町ミュージアムスクエアのレイトでやりそうな雰囲気の作品ですけどね。
何もかも投げ出して、何ヶ月もかかる航海へ出かけるなんて、うらやましい! やっぱり青春映画ですかね。
「ラン・ローラ・ラン」「ノッキング・オン・ザ・ヘブンズドア」クラスを期待すると裏切られますよ。

おしまい。