「銀杏(いちょう)のベッド」

歴史ロマンと輪廻転生を融合させた映画だけど


  

今回ご紹介するのは「銀杏(いちょう)のベッド」という韓国の映画。今をときめく韓国のスター、ハンソキュウの主演で96年の制作。
なぜ、このちょっと古い映画が今日本で公開されているかというとこの「銀杏のベッド」の姉妹作である「燃ゆる月」が公開されているからなんでしょうね。

なかなか面白い設定。
遥か昔に愛し合っていた恋人が、1,000年の時の流れを超えて再び出逢うロマンチックなラブストーリー。だけどこの設定の良さを生かしきっているようには思えないのが残念。

大学でデッサンのクラスを担当しているスヒョン(ハンソキュウ)は最近よく幻覚を見る。もうすぐ結婚しようと思っている恋人の女医に相談して精密検査と脳のCTスキャンをとってもらうが「水虫以外は異常ナシ」と言われてしまう。その病院からの帰り道、スヒョンは幻覚の中で見たのと同じ光景を街角で見かける。クルマから降り、その街角を歩く彼は木で出来た寝台を見つける。

遥か昔、お姫様・ミダンと宮廷楽師は密かに愛を育んでいた。しかし、このお姫様を見初めた隣国の武将ファン将軍が突然攻め込んできて、彼女を自国へと連れ去ってしまう。屋敷に住まわされるミダンは決してファン将軍には心を開かない。とうとう宮廷楽師の存在を知った将軍は嫉妬に狂いミダンの目の前で楽師の首を刎ねてしまう。
ミダンはその愛の深さ故に永遠の命を与えられる。そして、ファン将軍にもその憎しみがゆえに永遠の命が神から与えられたのだ。
そして、スヒョンは現代によみがえった宮廷楽師。彼は運命的に銀杏の寝台に出会い、手に入れる。この寝台こそミダンと宮廷楽師の愛が込められている寝台なのだ。

歴史ロマンと輪廻転生を融合させた映画だけどなぁ...。
ハンソキュウが若いよ。ミダン役にはチンヒギョン(「私にも妻がいたらいいのに」にも出ていましたね)、ちょっと狂気が入った嫉妬に身を焦がすファン将軍にはシンヒョンジュン。この人はとってもいい、目つきがなんとも言えないし、雪の中真っ白になりながらミダンを待つ一途さには男でありながら惚れてしまいます。「ライバン」のハンナクがちょい役で顔を出しています。
マエフリのCGがどうもあかん。6年も前の作品だから、拙いのはしょうがないにしても意味がなさ過ぎる。鷲を飛ばすぐらいなら、このマエフリでこのイチョウの木の由来とこの木から寝台を作った人がいたことを上手く説明してほしかった。そうすればこの映画にもっと入りやすかったのに。
ストーリーに関係がないエピソードが多いのも気になります。スヒョンと恋人の女医はいいとして、彼女の病院内での軋轢はもう少しさらっと描けなかったのか。また、ファン将軍が画面に初めて登場する場面のカップルって何か意味があるのか?
もう一つ言わせてもらえば、ミダンの少女時代を演じた子役がとんでもなくかわいくないのは致命的だと思います。

会場は渋谷シネ・アミューズ。金曜の朝一番とあってか20名ほどの入りでした。ここは初めての劇場でしたが、ロビーにはカフェもあり、なかなかかっこいい作りになっています。
関西では日時は未定ですが動物園前シネフェスタで公開の予定だそうですよ。
まぁ、ハンソキュウが気になる方はご覧ください。

おしまい。