「マジェスティック」

こころにしみ入る


  

六月に入り、待ってましたとばかりに初夏の爽やかな晴天が続いていますが皆さんお元気ですか? それにしても暑いですね。
初夏ならぬすっかり盛夏の趣で、六月でこの調子なら七月や八月はどんなんだろうと思いやられます。まだ救いは朝夕の涼しさでしょうか。エアコンいらずでぐっすり眠れますね。それに早朝の爽やかな涼風は本当に気持ちがいい!

さて、今回ご紹介するのは「マジェスティック」という米国の映画です。
ジム・キャリー主演で「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」などのフランク・ダラボン監督の最新作、という触れ込みだけど、残念ながら両作とも未見。

記憶を失った青年(ピーター・アプルトン)が浜辺に打ち上げられる。彼を見つけた老人はこの青年を街(ローソンタウン)に連れて帰る。アプルトンをどこかで見たことがあると思いながら...。ローソンタウンで唯一の映画館を営んでいた男の息子とそっくりなのだ。この息子・ルークは第二次世界大戦に従軍し、ヨーロッパ戦線で行方不明になっていたのだ。
街ではルークが9年半の空白を超えて街へ帰ってきたと大騒ぎ。盛大な歓迎野外パーティが開かれる。ローソンタウンでは大戦に多くの若者を送り出し、ほとんどがそのまま還って来なかったのだ。何かと暗い話題ばかりだったこの街が久々に迎える明るい話題がルークの帰還だったのだ。
もう諦めていた息子の帰還を喜ぶ父親は閉鎖したままになっていた映画館「The Majestic」を再開しようとする。そして、ルークの元・婚約者の出現...。
記憶を無くしているアプルトンは戸惑いながらも、この環境に順応しようと努力する。
やがて、ローソンタウンの人々の暖かい協力のもと映画館は再建されリ・オープンを果たす。滑り出しは上々だ。そんなある日、上映されている映画を観ていたルークはふとしたきっかけで、記憶を全て取り戻し、自分が何者なのかを想い出すのだ。
その時突然、映画の上映が途切れる。映写室で父親が発作を起こして倒れてしまったのだ!
父親の葬儀を終え、街に戻る道すがら、この街における彼の人生は大きく動き始め、一度狂った歯車はもう二度と元には戻らないように思えたのだが...。

記憶を失ったアプルトンを演じるジム・キャリーが熱演。ルークを演じているときよりもアプルトンを演じていて、椅子に座り、会議の行方を見守っているカットの方が断然いい。
ルークの婚約者の女優さん、決して美人ではないんだけどいいです。そして、なによりもルークの父親・マーティン・ランドーがいいのです。ダイナーで初めてアプルトンを見かけたときのあの静かな中に狂喜を秘めた表情がなんとも言えません。決してオーバーにならない控えめな演技が心にしみ入りますね。
彼はルークが本物ではないと気が付いていたのだろうか?

いかにもアメリカのヒューマンドラマって感じの筋立てながら、最後には感動に胸を熱くしてしまうボクがそこにいました。涙腺が弱い人は、要注意。
最後のエピローグは蛇足だと思いますが、まずまずのオススメです。
今月下旬に松竹系(梅田ならピカデリーかブルク7)で公開予定だそうです。

おしまい。