「異魚島」

チェジュのミステリーワールド


  

週が明けて月曜の晩に観に行ったのが「異魚島」という映画。1977年の制作です。
この映画は、現代劇でもあるんだけれど、済州島の近くにある離島に伝わる伝説を題材にしている。この映画で繰り広げられるキムギヨン・ワールドは「女の本性」と「男の弱さ」を全面に出したものというよりも、謎めいたミステリータッチで、環境問題などのサイドストーリーも充実しているように思う。
平日ということもあって、鑑賞者は6名。

観光ブームに沸くチェジュ(済州)島では、新しいホテルの建設が進んでいた。このホテルを開発している会社の担当部長ソヌヒョンはマスコミを招いてキャンペーンを打つ。遊覧船に一行を乗せ、港を出港する。行き先は秘密だ。
船上で発表されたのはホテルの名前。その名は「イオド(異魚島)」。イオドとは、海で遭難してしまったこの付近の漁師たちが辿り着くと言われている幻の島だ。この島に行った者は現世には戻れないが、この島で幸せに暮らすことが出来るという。また、一度でもこのイオドを見た者は、イオドからの呼びかけの象徴である青い炎に呼ばれると、即座にイオドに行かなければならないのだ。
そして、この遊覧船の行き先はなんと幻のイオドだったのだ。
多くの参加者はジョークとして受け止めたが、一人の新聞記者・チョンナムソクは猛烈に抗議した。イオドというホテル名も、イオドを探すというこの遊覧船も、地元を冒涜するものだと...。そして、その晩、この記者は船上から忽然と姿を消してしまうのだ。
チョンナムソク失踪の責任を取って会社を辞めたソヌヒョンは、彼の失踪の謎を探ろうと、チョンナムソクの上司とともに彼が住んでいた島に向かう。この島でソヌヒョンが出会ったものとは...。

何度も現在と回想シーンがが入れ替わり、その度に水の中からあぶくがわき上がってくる音が入り、おどろおどろしさが増す。そしてだんだんイオドの秘密とチョンナムソクの過去が明らかになってくる。
するとストーリーの焦点になるのは「どの女性がミンジャなのか」ということになる。子供が出来ない未亡人のパク某なのか、それとも飯屋の娘なのか...。

良く練られた作品で「死んでもいい経験」よりずっと面白い出来だ。
祈祷師のアジマが存在感があって、なかなかいい味を出しています。

この作品は、どこかの韓国映画祭などで、ひょっとしたらご覧になるチャンスがあるかもしれません。

おしまい。