「およう」

正直言って、もうひとつ


  

ゴールデンウィークもあっと言う間にもう残すところ1日だけ。
ぶらぶら過ごしているとほんとに早いですね。もったいない!

頂き物の招待券で試写会へ行って来ました。そーさんと二人で梅田まで行き、二人ともなんの疑いもなく厚生年金会館が会場だと思い込んでおり、大阪駅前のバス乗り場から鶴町4丁目行きのバスに駆け込む。立売堀3丁目でバスを降りると、厚生年金はすぐそこ。が、全然人がいない。一人もいない。やっぱりガラガラなんかなぁ、なんて思っていた。しかし、ハガキをよく見ると会場は御堂会館ではないか! (歩いて行ける距離でよかった)

主演の渋谷亜希、関本郁夫監督、主題歌を歌う真奈尚子の3名による舞台挨拶があった。
大正時代の画家、竹下夢二とモデルで彼の愛人だったおようという娘、そしておようを愛した「へんたい」画家・伊藤晴雨。この三角関係を描いた、大正ロマンたっぷりの人間物語り。
渋谷亜希は新人の女優さんだが、なかなかいい。次々と男を狂わせる「魔性の女」を見事に演じきっている。彼女の今後には要注目です。
竹下夢二には、世界的バレエダンサーだという熊川哲也。
責め絵師・伊藤晴雨には、はまり役だなぁ、竹中直人。ミスタールーキーの時よりずっといい。

映画としては「もうひとつ」だった。
何故さして面白くないのか、原因は二つあると思う。一つは、この映画がおようの話しなのか、竹下夢二が主人公なのか、それとも竹中直人が主役なのか、それが見ている側にさっぱり分からないから。だから、誰に感情移入して観ていけばいいのかわからない。視点が定まらないから、お話としては薄っぺらい散漫な印象しか残らない。いっそのこと石倉三郎か竹中直人の奥さん役である渡辺えり子の視点から撮れば面白かったのに!
もう一つは、熊川哲也演じる竹下夢二の破天荒な天才の狂気が全く伝わってこなかったこと。この人の演技は抑制が効きすぎたクールなもので、悪く言えば小さくまとまり過ぎて、いっこもアピールするものがない。もっと荒っぽい演技が必要だったんとちゃうかな。対峙するのが竹中直人やねんから、もっともっと大袈裟に演じないと負けちゃう(事実、負けてた)。
荒っぽいエピソードはそこかしこに散りばめられているのに、全然迫力が無いもんなぁ。いっそのこと、竹下夢二の役を竹中直人が演じれば良かったのに、とさえ思ってしまう。

竹下夢二は美人画の画家だとは知っていたけど、こんな人とは知りませんでした。ひとつ勉強になりました。

おしまい。