「アモーレス・ペロス」

男って悲しいねぇ


  

世間ではもうすぐゴールデンウィークだ。 珍しく、今年のゴールデンウィークには胸がときめくような予定が入っていない。この3月末に行ってきたとこだしなぁ。ちょっと残念。

近頃観る映画のキーワードは「犬」と「オムニバス」か?
テアトル梅田で観たメキシコ映画「アモーレス・ペロス」は三話からなるオムニバス。別々に独立したお話しだけど、ひとつの交通事故を接点にそれそれが微妙に絡んでいる。そして三話とも大切な役割を果たしているのが「犬」だ。

街の中を猛スピードで駆け抜けるクルマ。このクルマには若い男が二人乗り、後部座席にはケガをして血を流し横たわる犬が乗せられている。このクルマの後ろからは拳銃を持った男たちが運転する4WDが、これまた猛スピードで追いかけてくる。
いきなりのこのカーチェイスで、一気に映画の中に引き込まれる。この2台のクルマで追いかけっこをしている男たちは何者なのか。
と、逃げる前のクルマが赤信号の交差点に進入して、出会い頭に別のクルマに激しく衝突する。
凄い激突音。吹っ飛ぶフェンダー。火を吹くクルマ。
そして、物語が始まる。

この映画のテーマは「愛」だ。
映画はそれぞれ異なった三つの愛の姿をボクの前に示してくれる。しかし、その三つともが少し歪んだ形で、悲しい結末を迎える。そしてボクをちょっぴり暗い気分にしてしまうのだ。
男ってほんとにバカで悲しい生き物なんだねぇ。

最初は、兄嫁に横恋慕する弟。
愛もなく虐待を受けている兄嫁に、兄を捨て一緒に逃げようと持ちかける。まず、資金作りから。家で飼っている犬に闘犬の才能があることを偶然知り、闘犬場へ連れ込む。なんと、連戦連勝。たちまち小金持ちになる。だが、駆け落ち寸前に兄と兄嫁は彼が貯めていた資金を持ち逃げしてしまう。
次は、全てをなげうった男が辿る悲劇。
社会的に成功し、娘二人をもうけて幸せな家庭を築いている男が、スペインから来たモデルに入れあげ離婚する、しかしその幸せも長く続かない、このモデルが交通事故に遭いとうとう片足を切断してしまうのだ。
最後は、家族を捨てた初老の男。
反政府運動に身を投げ十数年投獄されていた初老の男はゴミをあさり、犬に囲まれた生活だ。裏の稼業は殺し屋だ。今はこんな姿だが以前は大学で教鞭を取っていた。彼の唯一の生きる理由は今は成人した愛娘の存在だ。彼は娘の部屋に忍び込み写真を持って帰る...。

一見何にも関係がないように見えるけれど、観終わったあとには全ての繋がりが納得(?)できるような形で理解できます。こんな繋がり方は去年観た「彼女を見ればわかること」のようです。
決して楽しい映画ではないし、2時間半ほどの上映時間にもかかわらず、意外と7割ほどの入り。残念ながら4/19の金曜で上映は終了してしまいました。

次回はOSで上映されている「チング」か「家路」を観に行く予定です。

おしまい。